相続税専門税理士の富山です。
今回は、「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例」について、お話します。
相続時精算課税制度の住宅取得等資金バージョンがある
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4103 相続時精算課税の選択
相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母などから、18歳以上の子または孫などに対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。
贈与税の課税方法には、「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」があり、相続時精算課税制度は、原則として60歳以上の父母または祖父母などからの贈与であることが要件となっています。
ただし、その贈与される財産が、住宅取得等資金の場合には、「60歳以上」という要件が撤廃されます。
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4503 住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例
概要
令和8年12月31日までに、父母や祖父母などからの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得または増改築等(「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合で、一定の要件を満たすときには、贈与者がその贈与の年の1月1日において60歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。
贈与資金を土地取得代金の支払いにしか充てなかった場合でもOK?
贈与により取得したお金で土地を先行して取得し、その後、建物は自己資金で建てた、または、住宅ローンを組んで立てた、というような場合、土地の取得にしか充てられていない贈与資金は、「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」を適用できるのでしょうか?
租税特別措置法関係通達(一部抜粋)
70の3-2 住宅用家屋の新築若しくは取得とともに取得するその敷地の用に供されている土地等
措置法第70条の3第1項第1号に規定する住宅用家屋の新築若しくは取得とともに取得するその敷地の用に供されている土地若しくは土地の上に存する権利とは、次に掲げる場合の区分に応じ次に掲げる土地等をいうことに留意する。
(1) 住宅用家屋の新築の場合
家屋の新築請負契約と同時に締結された売買契約若しくは家屋の新築請負契約を締結することを条件とする売買契約によって取得した土地等又は家屋を新築する前に取得したその家屋の敷地の用に供されることとなる土地等
(2) 住宅用家屋の取得の場合
家屋とその敷地を同時に取得する売買契約によって取得したいわゆる建売住宅、分譲マンションの土地等
(注)1 贈与により取得した金銭が上記本文(1)に該当する土地等の取得の対価に充てられ、住宅用家屋の新築の対価に充てられた金銭がない場合であっても、当該土地等の取得の対価に充てられた金銭は住宅取得等資金に該当することに留意する。ただし、当該贈与があった日の属する年の翌年の3月15日までに、住宅用家屋の新築をしていない場合には、当該贈与により取得した金銭については同条第1項の規定の適用はないことに留意する。
2 措置法第70条の3第1項第2号に規定する既存住宅用家屋の取得とともに取得するその敷地の用に供されている土地等とは、上記本文(2)の場合に準じた土地等をいうことに留意する。
3 上記本文及び(注)2に該当する土地等以外の土地等の取得のための金銭は、住宅取得等資金には該当しないことになるが、当該土地等取得資金を贈与により取得した同一年中に住宅取得等資金を当該贈与をした者より取得し、措置法第70条の3第1項の規定の適用を受ける場合には、当該土地等取得資金についても相続時精算課税の適用となることに留意する。
一定の要件に該当し、建物の新築がちゃんと期限までに間に合えば、「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税選択の特例」を適用することができます。
想う相続税理士
租税特別措置法関係通達(一部抜粋加工)
70の2-3 住宅用家屋の新築若しくは取得とともに取得するその敷地の用に供されている土地等
措置法第70条の2(直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税)第1項第1号に規定する住宅用家屋の新築若しくは取得とともに取得するその敷地の用に供されている土地若しくは土地の上に存する権利については、70の3-2《住宅用家屋の新築又は取得とともに取得するその敷地の用に供されている土地等》((注)3を除く。)を準用する。