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遺産分けで揉めないようにするためには?


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財産は減らしたくない。そのためには?

先祖代々相続されてきた財産をお持ちの方は、その相続した財産を自分の代で手放すわけにはいかない、また、次の代にきちんと引き継げるようにしなくてはいけない、というようにお考えになります。

そのため、財産があっても浪費をせず、節約して、財産やお金を残そうとされます。

しかし、財産を残すためには、相続税の負担も減らさなければなりません。

なぜなら、相続財産から相続税を払うとすれば、その分、相続税が減ってしまうからです。

もし、相続税を支払う際、相続財産に手を付けないというのであれば、相続人の自己資金を納税に充てる必要があります。

また、相続税の申告をする手前の段階として、遺産分けがまとまるか、というところがポイントになります。

この遺産分けがうまくいかないと、相続税の申告及び納税が大変面倒、かつ、重くなるのです。

相続というものが今まで以上に身近なものとなり、テレビ番組や雑誌などで相続が取り上げられ、また身近なところでも相続を経験した知り合いの話を聞いたりして、相続しても大変なんだな、土地を相続しても売れないんだな、ということを認識している方が増えてきています。

そして、何も準備や対策をせずに、相続を迎えてしまうのではなく、相続があった時に困らないようにしたい、とお考えになるのです。

財産をお持ちの方が動かないとどうしようもない

その、実際に困る方、財産をお持ちの方が亡くなった時に相続人となる方は、自分ではどうしようもありません。

ですから、今、財産をお持ちの方が、将来、自分の相続人となる方の相続税の負担が減るように、そして、納税がしやすくなるように、できるだけラクに相続ができるように、配慮してあげることが大事なのです。

そのためには、財産をお持ちの方が、財産を残してあげるんだからいいんだろう、というように考えるのではなく、自分の相続人となる方との話し合いをきちんとして、その方達の考えや意見を聞きながら、一緒に準備をしていくということが、非常に効果的になります。

財産を持ち続けることにこだわらない

そのためには、今の財産をそのまま持ち続けるという発想ではなく、例えば、相続税の計算における評価額が高くなってしまうけれども、実際にはそれほど高い値段では売れないというような土地については、生前に売ってしまう、ということも一つの手です。

例えば、相続税評価額が3,000万円になる土地があるとします。

しかし、実際にはその土地の実勢価格が2,000万円だとすれば、何もしないでその土地を相続の時に持っていると、3,000万円に対して相続税が課税されますが、売って2,000万円の現金にしておけば、2000万円に対しての相続税で済む訳です。

もちろん、売却することにより所得税がかかったり、手数料等の費用がかかりますが、相続税は安くなり、また、手元に売却代金が残っているため、そのお金は納税資金に充てることができます。

評価額3,000万円の土地の売値が2,000万円だと聞くと、1,000万円損?という風に感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、この3,000万円というのは、相続税を計算する上での路線価や固定資産税評価額などをベースにして計算した税金計算用の金額でしかないのです。

その金額が高めになっているのであれば、実勢価格で売ることはなんら損する行為ではありません。

また、その売却代金を元に色々な相続税対策をすることもできます。

現金は、色々な形に姿を変えることができるので、相続税対策に効果を発揮しやすいのです。

現金にそのまま相続税が課税されると、強い重税感があるため、税負担の軽い資産に組み替えたり、生前贈与に活用したりするといいですよ。

土地はその価値や使途をきちんと考える

土地については、何もしないでそのまま所有していると、相続税だけではなく、他の税金も含めて、色々とお金が出て行ってしまうという課題があります。

やはり、毎年の固定資産税が大きな負担になります。

そこから収益が生まれていれば、そのための経費だ、ということで、納得しやすい部分もあるのですが、例えば、田畑になっていて、農作物を作っているというような場合、市街化区域のいい場所にあるような土地だと、別にそこで農作物を作らなくてもいいんじゃないか、とハタと感じます。

これが、市街化調整区域の農地であれば、相続税の負担も格段に安くなりますし、固定資産税も安くなりますから。

また、周りに新しい家がどんどん出来始めていて、雑草や虫、トラクターのタイヤから剥がれ落ちた土についての苦情なんかが来たりすることもあります。

生産性の高い農業を行えば、収益を確保することができるでしょうが、なかなかそれも難しく、所有コストもかかり、近所に色々と気も遣わなければいけない、というのが実情なのです。

そこで次に考えるのが、とりあえず雑草や虫が出てこないように空き地にしてしまおう、ということです。

しかし、この空き地にすると、相続税は高くなります。

この土地がアスファルト敷きの駐車場などになると、小規模宅地等の特例という相続税を安くする特例を使うことができる場合があります。

これが適用できれば、200㎡まで50%引きで評価することができます。

しかし、小規模宅地等の特例は、例えば、自宅の敷地であれば、330㎡まで80%引きで評価できます。

もし、その自宅の敷地で小規模宅地等の特例を使い切ってしまうと、駐車場の方ではもう特例が使えないため、駐車場については、まるまる課税されてしまいます。

土地の上に居宅があり、住宅用地に該当すると、固定資産税が安くなります。

また、先ほどの小規模宅地等の特例の適用の可能性も出てきます。

遺産分けで揉める様々な要因

核家族化が進み、自分の親兄弟よりも、自分の配偶者や子供との繋がりが以前に比べて相対的に強くなり、それとともに、親兄弟とは、あまり会う機会もなく、意思疎通が図られなくなっています。

また、仲が悪いから、遺産分けが難しいというよりも、「この財産の内容では、比較的仲の良い相続人間の間柄であったとしても、遺産分けが難しいんじゃないか」というような場合もあります。

つまり、財産の構成が、相続人間で平等に分けるのに適していない、ということです。

また、財産を完全に平等に分けるというのはほぼ不可能です。

例えば、相続人が子供3人であったとして、その子供3人に相続させることができるように、同じ財産が3つある、なんてことはあり得ないですよね。

その上、相続人の中に生前に資金援助をしてもらっている方がいたりすると、それを入れて平等だ、いや、それならお前だってあの時!という話になってしまいます。

逆に、亡くなった方の面倒を見ていた相続人については、その分、遺産分けで優遇されて当然だ、という気持ちがあります。

親が、自分の子供たちは大丈夫だろう、と考える場合に、それが、自分が相続した時の時代の感覚で考えてしまっている場合には、全く当たらないのです。

また、ほとんどの方が、相続を経験するのは初めてなので、遺産分けの時に、どういう風に話をすればいいのかわからないのが当たり前なのですが、そこまで親が意識をしていないという場合もあります。

相続人がみんな欲しがる財産がひとつしかなければそれだけでモメます。

自宅以外にも色々と不動産が多い場合には、相続税も高くになり、不動産はすぐに換金することができませんので、納税資金の準備が難しくなります。

また、預貯金が少ない場合にも、納税資金に充てる財産が少ないということですから、同じように大変です。

納税資金に充てないにしても、預貯金があれば、不動産を相続しない代わりに現金が欲しいという相続人がいた場合に、その相続人に相続させることもできるため、預貯金は非常にありがたい財産です。

言わなくても分かる、という考えは通用しません。

昔とは違います。

財産をお持ちの方は、相続人となられる方とのコミュニケーションをきちんととっておき、自分がどのように財産を分けて欲しいか、伝えておきましょう。

遺言はオープンに作る

また、それをきちんとした形に残すとすれば遺言です。

遺言により、ご自分の意思をきちんと明確に残すとともに、それを遺産分けに反映させることができます。

遺言については、その方に意思能力がある時期でないと作ることができません。

お元気なうちに作るのが鉄則です。

遺言の内容も、あらかじめ相続人の全員に教えておくのがベストです。

そうしないと、財産を多くもらう相続人が仕組んで、遺言を作らせたのではないか、というような疑いが他の相続人の間に出てしまうからです。

そして、あらかじめ相続人の全員に内容を教えるのですから、その各相続人に配慮した、出来るだけ公平に財産を分ける内容にする必要があります。

ただし、完全に公平に分けるのは不可能です。

そこは、遺言を作成される方のお気持ちなどを「付言事項」により伝えてましょう。

そして、各相続人に認められ遺留分を無視しないような内容にしておきましょう。

亡くなった時に何も言いようがない状態で、ゼロから遺産分けしなければならない相続人の方々を想像してみてください。

遺産分けは難しそうです。

しかし、あなたのお気持ち、みんな仲良くやって欲しいとか、財産が少なくなってしまう相続人に対して、申し訳ないという気持ちを、きちんと書いてある遺言があって、それを見ながら遺産分けをする場合、それが公正証書遺言で書かれていて、法的効力が担保されている、とかいうこと以上に、あなたの言葉がきちんとそこに書かれている、ということで、遺産分けの難しさは格段に下がるでしょう。

相続人間もオープンに

また、相続人間のコミュニケーションも必要です。

自分が当たり前だと思っている考え方が、他の相続人から見たら、全然そんなこと考えていると思わなかった、なんていうこともあるのです。

生前に資金援助等をしていただいたり、贈与を受けているような場合に、そのことは隠し通せるでしょうか?

相続税の申告をする場合には、生前のお金の動きもチェックします。

もちろん、相続税の申告は、亡くなった日時点での預貯金の残高がベースとなるんですけれども、無くなる前にお金を引き出していないか、また、相続税の申告に組み込まれる相続前3年以内の贈与がないか、また、3年を超えた昔の贈与であったとしても、その贈与がきちんと申告されているかどうか、ということを、税務署がチェックします。

もちろん、税理士もそれを知っているので、正しい相続税の申告をするためには、過去にさかのぼって通帳の動きをチェックをします。

その場合に、過去の贈与がその時にバレてしまうと、かなり立場が悪くなります。

他の相続人や税理士にバレなかったとしても、税務署は大きな調査権限を持っているため、預貯金の口座の動きはかなり細かく、昔の分まで見られます。

相続税の税務調査等により、それが明るみにされることもあります。

財産をお持ちの方と同居されていたり、また、その方の身の回りの世話や介護をされている相続人の方は、そのご自分のご負担やご苦労されている状況を、その大変な時にきちんと伝えておく必要があります。

そして、自分が大変なので、手伝ってくれないか、というような感じで、全部抱え込まないようにして、他の相続人も巻き込むようにしておきましょう。

結果として手伝ってもらえなくてもいいのです。

あなたが大変だということ、大きなご負担をされているということを伝えておくのです。

そうすることによって、相続後に、そんな事情は知らない、と言わせないようにするのです。