相続税専門税理士の富山です。
今回は、路線価地域に所在する土地について、路線価で評価しようとしたところ、その路線価が設定されている道が、建築基準法上の道路でないことが分かった、という場合の対応について、お話します。
無道路地に該当する?
相続が発生し、相続財産である土地を評価しようとしたところ、その土地が路線価地域に所在していて、路線価図を見たら、ちゃんと土地が接する道に路線価が設定されていた、というような場合、その路線価に基づいてその土地を評価するでしょう。
しかし、その道が建築基準法上の道路ではなかったら、どうなるのでしょうか?
財産評価基本通達には、「無道路地の評価」というものがあります。
財産評価基本通達(一部抜粋)
20-3 無道路地の評価
(注)1 無道路地とは、道路に接しない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含む。)をいう。
直接道路に接していない宅地については、安く評価することができるのですが、「この『道路』が『建築基準法上の道路』だとすると」、(たとえ路線価が設定されていたとしても)その道は道路ではないので、道路に接していない宅地、ということになり、無道路地の評価をする、ということになります。
この場合、もっと離れた路線価の設定されている、実際に利用している建築基準法上の道路の路線価に基づき評価する、ということになります。
建築基準法上の道路じゃなかったら路線価が設定されているのはオカシイ?
財産評価基本通達(一部抜粋)
14 路線価
前項の「路線価」は、宅地の価額がおおむね同一と認められる一連の宅地が面している路線(不特定多数の者の通行の用に供されている道路をいう。以下同じ。)ごとに設定する。
路線価は「道路」に設定する、とは規定していません。
「路線」(ごと)に設定する、とあります。
つまり、建築基準法上の道路以外にも路線価は設定されます(設定されていたらダメ、という訳ではありません)。
ということは、その宅地に接する路線が建築基準法上の道路ではないとしても、その路線に路線価が設定されていれば、その路線価で評価する、ということになります。
建築基準法上の道路ではない路線の路線価は正しい?
建築基準法上の道路ではない、ということは、建物が建てられない(再建築できない)ということです。
その路線価には、その「建物が建てられないという減額要素」が加味されているのでしょうか?
路線価が設定されているんだから、その路線価で評価すればいい、という判断をするにしても、その場合でも、周辺の路線価と比較をして、その路線価で適正な評価ができるか、評価が高くなり過ぎないか、ということを検討すべきものと思われます。
想う相続税理士
つまり、「建築基準法上の道路等」以外の場合には、原則として、税務署に特定路線価を設定してもらうことができないのです。