相続税専門税理士の富山です。
今回は、死亡退職金に関する相続税の課税関係について、お話します。
同族会社の役員が亡くなった場合
お勤めの方が亡くなった場合、勤務先からご遺族の方に死亡退職金が支払われることがあるかもしれません。
その場合には、速やかに支払いの手続きがされるハズです。
それに対して、同族会社の社長が亡くなったような場合には、死亡退職金の金額が大きくなり、資金繰りの問題が生じ、すぐに払えない、というようなことも起こり得ます。
死亡退職金には非課税枠がある
死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。
その上で、相続人の方が受け取った死亡退職金については、
500万円×法定相続人の数
の非課税枠が用意されています。
想う相続税理士秘書
相続税の申告は10ヶ月以内にしなければなりません。
死亡退職金が後で支給されるかもしれない、と分かっていても、それまでにその支給が確定していなければ、計上したくてもできませんので、死亡退職金についてはノーカウントで相続税の申告をする、という対応をせざるを得ません。
支給が確定したのがいつかをきちんと確認する
相続税の申告をした後に支給が確定した死亡退職金があったら、どうすればいいのでしょうか?
修正申告をしなければならないのでしょうか?
上記で、相続税の課税対象となるのは「死亡後3年以内に支給が確定した死亡退職金」と言いました。
ということは、3年以内に支給が確定した場合には、修正申告が必要となりますが、3年経過後に支給が確定した場合には、相続税の課税対象ではなくなる(相続税の修正申告は不要)ということになります。
この場合には、ご遺族の所得税の課税対象(一時所得)となります。
所得税法基本通達(一部抜粋)
34-2 遺族が受ける給与等、公的年金等及び退職手当等
死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等で、その死亡後に支給期の到来するもののうち9-17により課税しないものとされるもの以外のものに係る所得は、その支払を受ける遺族の一時所得に該当するものとする。9-17 相続財産とされる死亡者の給与等、公的年金等及び退職手当等
死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等(法第30条第1項《退職所得》に規定する退職手当等をいう。)で、その死亡後に支給期の到来するもののうち相続税法の規定により相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては、課税しないものとする。
この「3年以内」か「3年経過後」かは、「現金ベース」(いつ入金があったか)で考えてはいけません。
あくまでも「『支給が確定』した日がいつか」で判断します。
ですから、ご遺族の方が後から死亡退職金の支給を受けた場合には、その支給がいつ確定したのかをきちんと確認しましょう(会社の議事録を確認してもらえば分かるハズです)。
想う相続税理士