【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

同族会社が不動産賃貸業を営んでいる場合の純資産価額における無償返還借地権

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税申告において同族会社株式を純資産価額方式で評価する場合に、その同族会社が借りている土地について、「土地の無償返還に関する届出書」が提出されていて、その同族会社が借地上の建物を第三者に賃貸している場合の借地権の取扱いについて、お話します。

出典:TAINS(評価事例708321)(一部抜粋加工)
質疑応答事例8321


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同族会社が建物を自己使用している場合

土地の無償返還に関する届出書が提出されている場合の同族会社株式評価上の借地権

上記の記事でお話したとおり、相続税申告において同族会社株式を純資産価額方式で評価する場合に、その同族会社が借りている土地について、「土地の無償返還に関する届出書」が提出されているときは、その土地の所有者が亡くなった方の場合には、借地権を20%計上する必要がありますが、その土地の所有者が亡くなった方以外の場合には、借地権の計上は不要です。

これは、相続ではなく、贈与の場合にも同様の取扱いとなります。

想う相続税理士秘書

A社の株式の評価(純資産価額方式)上、自用地としての価額の20%に相当する金額を借地権の価額として純資産価額に算入する。
ただし、株式の評価において、自用地としての価額の20%に相当する金額を純資産価額に算入するのは、贈与者が土地及び株式のいずれも所有している場合に限られる。

同族会社が建物を第三者に賃貸している場合

上記の取扱いは、同族会社が借地上の建物を自己使用していることが前提になっています。

では、同族会社が「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている借地(土地所有者=亡くなった方)上の建物を第三者に賃貸している場合、純資産価額に算入する「貸家建付借地権」はどのように計算するのでしょうか?

株式の評価(純資産価額方式)上、純資産価額に算入する貸家建付借地権の価額は、次のとおり、自用の借地権価額から借家人の敷地利用権相当額を控除した金額となる。

自用地価額×借地権割合20%×(1-借家権割合30%×賃貸割合)=貸家建付借地権の価額

将来タダで返還するのに借地権を20%計上するのは、「土地の評価額が個人と法人を通じて100%顕現することが課税の公平上適当と考えられる」ためです。

そのような考え方を踏まえると、「貸家建付借地権であっても、自用の借地権と同様に20%評価することが相当であるとの考え方もある」のですが、「第三者に貸し付けられている貸家の敷地たる借地権には、借家人の敷地利用権(自用地価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合)が生じており(評基通28)、自用の借地権とは当然にその価値が異なるのであるから、あえてその土地の価額を個人と法人を通じて100%顕現させる必要はなく、貸家建付借地権の場合においては、自用の借地権価額から借家人の敷地利用権相当額を控除した金額とすることが相当である」とされています。

想う相続税理士

借地権の計算上、借家人が土地に対して有する権利をきちんと考慮することになりますので、ご注意を。