【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税の申告をする前に解決すべき4つの疑問


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遺産分割をする前に配偶者が死亡した場合でも相続税の申告で配偶者の特典が使える?

配偶者に認められる相続税計算上の特典

MEMORANDUM
(1)配偶者の取得財産については、「1億6,000万円」「財産の1/2(法定相続分)」のいずれか多い方まで相続税がかからない(「配偶者の税額の軽減」

(2)自宅の敷地を配偶者が取得した場合には、所有継続要件や居住継続要件を満たさなくても、100坪まで8割引で評価することができる(「小規模宅地等の特例」

想う相続税理士

お亡くなりになった方の財産を、力を合わせて一緒に築き上げてきた配偶者の貢献度を評価して、相続税が安くなる特例が設けられています。

どちらの特例も、細かい要件がないのが特徴です。

配偶者が相続で取得する前に死亡したら相続税の申告はどうなるの?

(設定)夫死亡・相続人:妻(夫死亡後、遺産分割前に死亡)+長男+次男(長男と次男は持家有)

MEMORANDUM
夫死亡による1度目の相続、妻死亡による2度目の相続があり、どちらの相続も、相続人は長男と次男(1度目の相続の相続人としては妻も該当するが、遺産分割前に死亡しているため、その妻の代わり(代襲相続人)として長男と次男が遺産分割の当事者となる)

1度目の相続においては、相続人として、長男及び次男並びに妻の代襲相続人としての長男及び次男、結局相続人当事者である長男と次男の遺産分割協議が整えば、財産を既に死亡している相続人妻に相続させることができる

これにより、上記特典(1)(2)を適用することができる
遺産分割前にお亡くなりになったとしても、配偶者は相続人であることには変わりありませんから、配偶者が取得すれば、特例の適用を受けられます。

お亡くなりになった配偶者が財産を取得するためには、その配偶者の相続人(代襲相続人)が代わりに遺産分割協議書に判子を押せば大丈夫です。

想う相続税理士

相続税はシミュレーションが大事

MEMORANDUM
2度目の相続は、1度目の相続に比べ、法定相続人が減少し、基礎控除(相続税の非課税枠:3,000万円+600万円×法定相続人の数)が少なくなることにより、相続税負担率が高まる可能性があるので注意

2度目の相続における相続財産が、基礎控除額の範囲に収まるように(収まれば相続税負担率0)、1度目の相続における妻の相続分を計算できるか検討、この場合、妻が相続する財産だけではなく、妻が従前から所有していた財産も考慮

不動産については、1度目の相続で長男又は次男が相続すれば、1度目の相続時のみ相続登記の費用がかかるが、1度目の相続で妻が相続すると、1度目・2度目とダブルで相続登記の費用を負担しなければならない

自宅の敷地を1度目の相続で妻が相続する際には、100坪までであれば、20%評価で済むが、2度目の相続では100%評価になるため(長男次男が持家有のため)、評価額が5倍になるので注意

つまり、配偶者の特典を受けるために、1度目の相続で配偶者に何でも相続させればよいという訳ではない

1度目の相続で配偶者が相続税を納める場合には、2度目の相続(配偶者の相続)で、税負担を軽くする制度(「相次相続控除」)があります。

同じ財産に対して、短期間に、1度目の相続・2度目の相続と2回相続税がかかるのは、カワイソウだからです。

想う相続税理士

相続放棄した方(かた)が葬式費用を負担したら相続税の申告はどうなるの?


想う相続税理士

「相続放棄をした相続人が葬式費用を負担した場合の取扱い」についてのお話です。

相続税の計算では葬式費用を負担するとプラスの財産から引ける

想う相続税理士

各相続人の相続財産を計算する際、その相続人が、お亡くなりになった方の葬儀費用を負担している場合には、相続する財産の金額から、葬式費用の金額をマイナスして、相続財産を計算していい、ということになっています。

葬式費用だけではなく、借入金などの「債務」を引き継いだ場合にもマイナスできるのですが、このマイナスすることを、「債務控除」と言います。

マイナスすることにより、財産の金額が減りますので、相続税も減ることになります。

相続税の計算で債務控除できるのは相続人と包括受遺者のみ

この債務控除、相続人と包括受遺者(遺言により「全財産の何%」という割合で財産を取得する者)にのみ適用があります

相続を放棄した方や、相続権を失った方には、適用がありません。

想う相続税理士

債務控除のうち葬式費用だけは相続税の計算で特別な取扱いがある

想う相続税理士

相続を放棄したり、相続権を失っていたとしても、親族ですから、葬式費用を負担することはありますよね(長男や長女だったりしたらあり得ますよね)。

この場合、これらの方が、遺贈により財産を取得(遺言で財産を取得)している場合には、その遺贈により取得した財産の金額から、葬式費用の金額を債務控除できることになっています

この、特例的に債務控除できるのは、葬式費用だけであり、債務については適用がありません

相続を放棄したり、相続権を失った方は、債務を引き継ごうとしても、相続人や包括受遺者ではないので引き継げないのですが、葬式費用は、自分のお金を出せば「払えちゃう」ので、払ったんだったら、特例的にマイナスしていいよ、という規定なんです。

今までの話を聞いて、相続権がなくても、葬式費用を「払っちゃえば」、債務控除できる、と捉えてはダメですよ。

元々相続権があった方が、相続を放棄したり、相続権を失った場合に、認められるものです。

赤の他人が遺言で財産をもらった場合には、その方が葬式費用を負担したとしても、債務控除できませんので、ご注意を。

個人事業者の相続税の申告で事業用資産はどうやって評価する?


想う相続税理士

「個人事業者の方の相続税申告における、その事業で使っていた機械や車の評価方法」についてのお話です。

機械や車は相続税の財産評価上「一般動産」になる

想う相続税理士

結論から言うと、機械や車、器具備品などは、相続財産を評価する上で、「一般動産」というカテゴリーに区分されます。

ところで「動産」って何?

まず、「動産」とは何か、についてお話します。

民法では、次のように規定されています。

想う相続税理士

(不動産及び動産)
第八十六条 土地及びその定着物は、不動産とする。
2 不動産以外の物は、すべて動産とする。
3 無記名債権は、動産とみなす。

想う相続税理士

「不動産以外の物は、すべて動産」です。

その上で、財産評価基本通達を見てみると、このような構成になっています。

第6章 動産

第1節 一般動産
第2節 たな卸商品等
第3節 牛馬等
第4節 書画骨とう品
第5節 船舶

そして、この「第1節 一般動産」を見てみると、

想う相続税理士

暖房装置、冷房装置、昇降装置、昇降設備、電気設備、給排水設備、消火設備、浴そう設備等で92≪附属設備等の評価≫の(1)から(3)まで及び132≪評価単位≫から136≪船舶の評価≫までの定めにより評価するものを除き、以下「一般動産」という。

想う相続税理士

となっています。

92の(1)から(3)は、

(附属設備等の評価)
92 附属設備等
(1) 家屋と構造上一体となっている設備
(2) 門、塀等の設備
(3) 庭園設備

132から136は、

想う相続税理士

第2節 たな卸商品等
第3節 牛馬等
第4節 書画骨とう品
第5節 船舶

想う相続税理士

のことです。

つまり、不動産以外の財産で、附属設備等・たな卸商品等・牛馬等・書画骨とう品・船舶に該当しなければ、すべて「一般動産」ということになります。

機械や車は、当然「一般動産」ですよね。

事業用資産の金額は決算書に載っている?

個人事業者の方は毎年、所得税の確定申告をしているはずです。

その場合、その所得税の確定申告をする際に、各事業用資産の「減価償却費」を計算する必要があり、その計算をすることにより、事業用資産の未償却残高(期末残高)を事業所得の収支内訳書や決算書に記載しているはずです。

お亡くなりになった方についても、その死亡日までの確定申告(準確定申告)において、その死亡日時点の未償却残高を計算していることと思います。

そのため、「そういう、税務署に申告している事業用の『機械』や『車』の金額があるのだから、その金額で相続税も申告すればいいんじゃないの?」とお考えになる方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、相続税の計算における「一般動産」の評価方法は、所得税の減価償却資産の期末簿価の考え方とは、全く違うのです。

想う相続税理士

「一般動産」の評価方法は決算書の未償却残高の計算とどう違う?

想う相続税理士

財産評価基本通達を見てみましょう。

(一般動産の評価)
129 一般動産の価額は、原則として、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価する。ただし、売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない動産については、その動産と同種及び同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額によって評価する。(昭41直資3-19・平20課評2-5外改正)

いかがでしょうか?

原則は、売買実例価額、精通者意見価格等ベースです。

車だと、イメージしやすいのではないでしょうか?

中古車の市場が確立していますので、車種や年式などによって、売買金額が計算できますよね。

また、実際にいくらで売れるかを査定してもらうことも可能です。

この、売買実例価額、精通者意見価格等が入手できない場合には、「その動産と同種及び同規格の新品の課税時期における小売価額から、その動産の製造の時から課税時期までの期間(その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする。)の償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額」とあります。

この計算の仕方が、さらに細かく定められていて、

想う相続税理士

(償却費の額の計算)
130
(1) 耐用年数
耐用年数は、耐用年数省令に規定する耐用年数による。
(2) 償却方法
償却方法は、定率法による。

想う相続税理士

となっています。

「『償却費の額の合計額又は減価の額を控除した金額』とあるんだから、結局、所得税の減価償却資産の期末簿価になるんじゃないの?」とお思いになるかもしれませんが、よく見ていくと、違うということがお分かりいただけると思います。

まず、「その期間に1年未満の端数があるときは、その端数は1年とする」とあります。

所得税の計算は、月数按分します。

つまり1ヶ月単位で計算します。

ところが、相続税は1年単位で計算し、1ヶ月だとしても、1年で計算できるのです。

所得税の計算の仕方よりも、償却費を多く計算できますから、その分、財産の金額を少なく計算できます。

また、「償却方法は、定率法」とあります。

定率法は、定額法よりも償却(減価)が前倒しされるため、こちらも、償却費を多く計算することができます。

もし、所得税の計算で「定額法」を採用している資産であれば、「定率法」で計算することにより、財産を安く評価することができるのです。

「面倒くさいから、準確定申告の未償却残高をそのまま相続財産の金額として申告しよう」なんて考えると、損してしまうかもしれませんから、ご注意を。

想う相続税理士

ちょっと心配?相続税の申告をする場合のマイナンバー(個人番号)と本人確認


想う相続税理士

「相続税の申告をするときのマイナンバー」についてのお話です。

所得税の
確定申告は
扶養親族の
マイナンバー
を書くが
個人番号
カードの
コピーの
添付は
申告者の
分のみ

所得税の確定申告を紙で提出する場合、税務署に提出する本人確認書類は、申告者の分のみです。

本人確認書類というのは、身元と番号(マイナンバー)を税務署が確認するための書類です。

通常は、個人番号カードの裏表のコピーでOKです。

個人番号カードなら、番号も身元も確認できます。

まだ個人番号カードを受け取っていない場合には、通知カード(番号確認)と運転免許証(身元確認)などのセットのコピーでOKです。

所得税の申告をする上で配偶者控除や扶養控除などを受ける場合、その配偶者や扶養親族などのマイナンバーも申告書に記載するのですが(一定の還付申告の場合には記載が省略できます)、その配偶者や扶養親族などの本人確認書類は税務署に提出しません

なぜでしょうか?

それは、申告者が税務署の代わりに本人確認をすることになっているからです。

相続税の
申告では
相続した
人すべての
個人番号
カードの
添付が必要

相続税の申告書は「連記式」になっています。

相続人が別々の申告書に署名押印するのではなく、署名を並べて(申告用紙何枚かに分かれますが)申告します。

夫が死亡し、妻と子が財産を相続したとします。

相続税の申告書が出来上がり、妻が税務署に提出に行く場合、所得税と同じ感覚で、妻の個人番号カードのコピーだけ持参すればいいかというと、そうではありません。

子の分のコピーも必要です。

この場合の子は、妻と同じ申告者だからです。

この場合、子が妻に個人番号カードのコピーを渡すことになるのですが、これは特定個人情報の提供に当たらず、妻が子の本人確認をする必要はありません

相続税の
申告に
おいて
亡くなった
方の
個人番号
カードの
コピーは
不要

お亡くなりになった方の個人番号については、そもそも相続税の申告書に記載できないようになっています(欄に斜線が引かれています)。

当然、個人番号カードのコピーも不要です。

相続税の
申告書の
控には
個人番号を
記載しない

相続税の申告書の控に個人番号が記載されないようにしてください。

申告書の控を保管することにより、他の相続人の個人番号も保管することになってしまうからです。

申告書作成ソフトを使った場合には、控は個人番号が記載されずに出力されるはずです。

注意しなければならないのは、提出用の申告書をコピーして控用としている場合です。

この場合、個人番号もコピーされてしまいますので、マスキングするなどの対応が必要となります。