相続税専門税理士の富山です。
今回は、書類に記載された面積でちゃんと相続税の申告をしても、税務署に認められない場合がある、ということについて、お話します。
建物の面積には制限(上限)がある
墨田区HP(一部抜粋)
建蔽率は、建築面積の敷地面積に対する割合です。
建蔽率(%)=(建築面積/敷地面積)×100
容積率は、延べ面積の敷地面積に対する割合です。
容積率(%)=(延べ面積/敷地面積)×100
たとえば、300%の地域では、建築物の延べ面積は敷地面積の3倍までで、敷地が100平方メートルとすると建築物は300平方メートルまで建てられます。各階を60平方メートルずつとすると総5階が建てられます。
相続財産の中にA土地と、A土地の上に建っているB建物があるとします。
A土地は路線価地域にあるのですが、市区町村役場で取得した「固定資産評価証明書」の地積(225㎡)を元に評価しました。
このA土地は容積率の制限が300%の地域に所在するのですが、B建物の延べ面積がA土地の面積の4倍(900㎡=225㎡×4)あったらどうでしょうか?
上記にあるとおり、「300%の地域では、建築物の延べ面積は敷地面積の3倍まで」ですので、B建物の延べ面積は225㎡×3=675㎡以下でなければならないハズです。
縄伸びが発生している可能性がある
このような場合、土地の面積が間違っている、本当はもっと広い(「縄伸び」と言います)という可能性があります。
容積率300%の地域に建つ900㎡の建物ということは、容積率ギリギリで建築されたとしても、その敷地の面積は900㎡÷3=300㎡ということになります。
少なくとも300㎡△225㎡=75㎡は面積がズレているようです(固定資産評価証明書の面積よりも実際にはさらに75㎡以上広い土地のようです)。
つまり、225㎡で相続税の申告をすると、財産の過少申告になってしまう、ということになります(相続税の申告書の提出後、税務署に指摘される可能性があります)。
建築計画概要書を入手してみる
このように、パッと見で建築基準法違反(違法建築)になっている場合には、実際には違反(違法)な建築ではなく、土地の面積が間違っている可能性がありますので、市区町村役場で「建築計画概要書」を取得して、そこに記載されている「敷地面積」を確認してみましょう。
想う相続税理士秘書
建蔽率は制限が緩和されている場合がある
「角地緩和」というものがあります。
これは、本来の建蔽率よりも、上限が10%プラスされるもので、例えば、第一種住居地域で、建蔽率が60%の地域だったとしても、角地緩和が適用されると、60%+10%=70%となります。
ですから、「建蔽率が60%の地域にある100㎡の土地に70㎡の建物が建っているのはオカシイ。これも縄伸びだ」と思ったら、角地緩和で70%まで建てられる(から問題ない)、ということもあるのです。
想う相続税理士