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相続税の申告の際に気を付けたい「亡くなった後に気付いた相続人名義の預金」の取扱い

この記事の結論
財産の所有者=財産の名義人ではない!
贈与により所有権が移転するためには、双方の意思が必要!知らない間に所有権は移転しない!

相続税の申告の前に知って欲しい「贈与」の話

税理士として、相続税の申告のために、お客様のところにお伺いすると、例えば、お父様が亡くなって、奥様やお子様たちが、相続税の申告が必要か確認しようと、お父様の財産を調べてみたら、自分たち相続人名義の預金が出てきた、なんていうお話を聞くことがあります。

「自分たちのためにお金を積んでおいてくれたんだなあ」という感謝の気持ちが出てくるでしょう。

でも、これは一番危険なパターンです。

相続人が知らない間に、相続人に贈与する、ということは、できないのです。

「贈与」は、まず、あげる人が、「財産をあげますよ(贈与しますよ)」と伝え、もらう人が、「財産をもらいますよ(贈与を受けますよ)」と伝えることにより、成立します。

ですから、「内緒で贈与する」ということはあり得ないのです(内緒にするのは、生きているうちにあげることにより、無駄遣いされてしまうことを避けたい、という配慮もあるのでしょうが)。

「いや、あげる方が『あげる』って言ってるんだから、それでいいんじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、それで贈与が成立してしまうとすると、例えば、もらう方が欲しくないようなものでも、あげる方が「あげる」と言えば、その財産をもらう人に押し付けることができちゃいますからね。

そんなの嫌ですよね!

相続税の申告する前に気を付けたい税務調査の想定問答

最初の話の相続人の名義の預金の件ですが、相続税の税務調査があれば、下記の点について指摘されます。

①口座を開設する際の書類の記載(筆跡)はお父様ではないか?
②その時に使った印鑑は、お父様が持っているものと同じものではないか?
③預金があることを相続人が生前に知っていたか?いつ、どのように知ったか?
④通帳は誰が保管していたのか?

相続人の知らないところでお父様が全部やっている、ということであれば、これは、お父様の財産です。

例え、暦年贈与の非課税枠である年間110万円以内で、毎年お金を移転していたとしても、贈与が成立しなければ、そのお金はお父様のもの、ということになり、相続税が課税されます。

もし、相続税を節税するために、生前に預金の贈与をするのであれば、きちんと贈与の証拠を残すことが必要です。

贈与契約書を作成するのも一法です。契約書がないと、絶対に贈与が認められない、という訳ではありませんけどね。

相続税の申告と税務調査対策としての「確定日付」

また、契約書があっても、「それは後から作ったのでは?」と言われる可能性もあります。

そこで、公証役場で「確定日付」を付けてもらう方法もあります。

日付の入った判子を公証人に押してもらうことにより、その日にその証書(文書)が存在していたことを証明するものです。

「贈与を成立させる」という意識が大切です。