【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

死亡保険金の受取人は誰にすべき?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、ご自分の相続の際の相続税対策として生命保険契約に加入する場合、誰を死亡保険金の受取人にした方がいいのか、ということについて、お話します。


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死亡保険金の非課税枠を活用する

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
概要
被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金(偶然な事故に基因する死亡に伴い支払われるものに限られます。)で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続等により取得したとみなされて、相続税の課税対象となります。
この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には、非課税の適用はありません。

亡くなった方が保険料を負担していた死亡保険金は、相続税の課税対象になるのですが、相続放棄等をしていない相続人が取得した分については、
500万円×法定相続人の数
の非課税枠を適用することができます。

法定相続人が3人であれば、
500万円×3人=1,500万円
が非課税となります。

配偶者には配偶者の税額軽減が用意されている

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4158 配偶者の税額の軽減
概要
配偶者の税額の軽減とは、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
(1) 1億6千万円
(2) 配偶者の法定相続分相当額

配偶者は、1億6,000万円までなら相続税がかかりません。

配偶者が死亡保険金を受け取るとどうなる?

亡くなった方がご自分に掛けていた生命保険契約があり、その死亡保険金の受取人を配偶者にしていた場合、その配偶者が受け取った死亡保険金は、相続税の課税対象になるのですが、「死亡保険金の非課税枠」「配偶者の税額軽減」はどのように適用されるのでしょうか?

この場合、まず「取得財産の価額」の計算において「①死亡保険金の非課税枠」を適用し、「各人の納付税額の計算」において「②配偶者の税額軽減」を適用します。

相続人が配偶者+子2人(長男・二男)=計3人で、死亡保険金の非課税枠が
500万円×3人(法定相続人の数)=1,500万円
の場合に、配偶者が預金1億4,500万円を相続し、死亡保険金1,500万円を受け取ったとします。

キャッシュの受取額は合計で1億6,000万円です。

相続税の計算・申告においては、「①死亡保険金の非課税枠」を先に適用するため、死亡保険金1,500万円は丸々非課税となり、配偶者の課税価格は1億4,500万円のみで計算されます。

死亡保険金が非課税枠の範囲内だったので、1,500万円を無税で手に入れられれた、ということになるのですが、非課税枠を適用しなくても、1億6,000万円以下なので、相続税はかかりませんでした。

せっかくの死亡保険金の非課税枠が活用されていません。

死亡保険金の受取人が長男で、長男が預金1億4,500万円を相続し、死亡保険金1,500万円を受け取ったとします。

キャッシュの受取額は上記と同額の合計1億6,000万円です。

この場合、死亡保険金1,500万円には「死亡保険金の非課税枠」を適用することができるため、相続税は1億6,000万円に対して計算するのではなく、1億4,500万円に対して計算されます。

その分、相続税が安くなります。

想う相続税理士

家族全体の相続税の負担額を減らす、ということをお考えになる場合には、配偶者以外の相続人の方を死亡保険金の受取人にすることを検討しましょう。