【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税申告と令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)と準確定申告の関係

相続税専門税理士の富山です。

今回は、「令和7年度税制改正による基礎控除の見直し等」の相続税申告への影響について、お話します。


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亡くなった方の所得税の納税額・還付額は相続税の計算対象

相続税の申告をする際には所得税の準確定申告の結果を盛り込むのを忘れるな!

上記の記事でもお話したとおり、

亡くなった方の所得税の確定申告(準確定申告)は4ヶ月以内にしなければならない
納税になる場合、納める税金は相続税申告における債務控除の対象
還付になる場合、還付される税金は相続税の課税対象
となります。

令和7年12月1日からの所得税の基礎控除の見直し等

令和7年度税制改正により、「令和7年12月1日から」、給与や公的年金等の源泉徴収(所得税)に関係する以下のような改正があります。

基礎控除額の改正
給与所得控除の最低保障額の引き上げ
特定親族特別控除の創設
扶養親族等の所得要件の引き上げ

ザックリ言うと、改正後は所得税が安くなります。

準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内にしなければなりません。

その期限が改正前だとすると、所得税は安くならないのでしょうか?

再申告(更正の請求)をしないと改正の適用は受けられない

令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A・国税庁HP(一部抜粋加工)
7-1 令和7年11月30日以前に準確定申告書を提出する場合の基礎控除等
令和7年11月30日以前に令和7年分の準確定申告書を提出する場合には、令和7年度税制改正による基礎控除の見直し等の適用は受けることができないのでしょうか。
[A] 令和7年度税制改正による基礎控除の見直し等は、令和7年12月1日から施行することとされていることから、同年11月30日以前にいわゆる準確定申告書を提出する場合においては、適用されないこととなります。
その上で、令和7年11月30日以前に準確定申告書を提出した方は、同年12月1日から令和12年12月2日(月)までに更正の請求を行うことにより、令和7年度税制改正による基礎控除の見直し等の適用を受けることができます。

令和7年11月30日以前に準確定申告書を提出する場合には、所得税は安くなりません。

改正の適用を受けたい(所得税を安くしたい)場合には、令和7年12月1日以後に更正の請求をする必要があります。

更正の請求をすると相続財産や債務控除の金額が変わる

原則として、令和7年1月15日に亡くなった方の所得税の準確定申告は、令和7年5月15日が期限となり、相続税の申告については、令和7年11月15日が期限となります。

この場合には、どちらの期限も令和7年11月30日以前です。

準確定申告における還付額が100万円であれば、相続財産としてその100万円を計上して相続税の申告をします。

もし、更正の請求により改正の適用を受け、100万円の還付額が110万円になったら、相続財産も100万円から110万円となり、相続税の修正申告が必要になるものと思われます(金額によっては附帯税等がかかる場合があるものと思われます)。

上記のような場合、

  1. 令和7年12月1日以後に所得税の更正の請求・相続税の修正申告をする
  2. (還付額の増加額が少額であれば)所得税の更正の請求をしない
  3. (いいか悪いかは別にして)所得税の更正の請求をしたと仮定した還付額で相続税の申告をする
のいずれかの対応をすることになるものと思われます。

想う相続税理士

上記(令和7年分の所得税の準確定申告があり、かつ、相続税の申告期限が令和7年11月30日以前)のようなケースは、レアケースであり、また、所得税の準確定申告の計算期間が1ヶ月以下となることから、所得税も少額になることが予想されます。

そのような場合には、あまり大きな問題にはならないのかもしれません。

ただし、①を選択する場合には、相続人間等の関係性によっては、何度も相続税の申告する(修正申告をする)ことが難しい場合がありますので、ご注意を。