【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

アパート敷地の評価で注意!歩道状空地の評価に関する質疑応答事例とその他のお知らせ

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税申告における歩道状空地の評価について、国税庁HPの「質疑応答事例」「その他のお知らせ」の内容を確認しながら、お話します。


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歩道状空地とは?

アパートやマンション等を建築する際、市区町村等の開発許可を受ける必要がある場合があります。

その行政指導により、「歩道状空地」として、道路沿いのその敷地の一部に、カラフルなインターロッキング舗装(レンガ調だったりします)等を設置するよう(宅地開発指導要綱に基づき建築時の事前協議において)求められることがあります。

この歩道状空地は、アパートやマンション等の「敷地」として評価するのでしょうか?

それとも、「道(歩道)」として評価するのでしょうか?

質疑応答事例を確認してみる

国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋加工)
歩道状空地の用に供されている宅地の評価
【照会要旨】
都市計画法所定の開発行為の許可を受けるため、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって設置された、次のような「歩道状空地」の用に供されている宅地については、どのように評価するのでしょうか。
なお、この「歩道状空地」はインターロッキング舗装が施されたもので、居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されています。
(図省略)
【回答要旨】
「歩道状空地」の用に供されている宅地が、法令上の制約の有無のみならず、その宅地の位置関係、形状等や道路としての利用状況、これらを踏まえた道路以外の用途への転用の難易等に照らし、客観的交換価値に低下が認められる場合には、その宅地を財産評価基本通達24に基づき評価します。
具体的には、①都市計画法所定の開発行為の許可を受けるために、地方公共団体の指導要綱等を踏まえた行政指導によって整備され、②道路に沿って、歩道としてインターロッキングなどの舗装が施されたものであり、③居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されている上図の「歩道状空地」は、財産評価基本通達24(私道の用に供されている宅地の評価)に基づき評価することとなります。
上図の「歩道状空地」が、不特定多数の者の通行の用に供されている場合には、その価額は評価しません。

ザックリ言うと、建物の敷地の一部ではあるものの、

  1. 行政指導により作られたもので
  2. 歩道としての外観を備えていて
  3. 外部の人が使っている
そのような「歩道状空地」については、「私道」として評価する、ということです。

私道の評価が、

不特定多数の者の通行の用に供される→評価しない(0評価)
特定の者の通行の用に供される→30%評価
の2パターンになっていることから考えると、「歩道状空地」とは、「不特定多数の者が通る道」か、そこまでいかないけど「特定の者が通る道」ということになり、歩道状空地に該当すれば、0評価か30%評価、ということになります。

Aさん所有のご自宅が公道よりちょっと奥まったところにあり、「Aさんのご家族が公道からそのご自宅に出入りするために通る道(その道はAさんが所有)」なんていうのは、Aさんファミリーしか通りませんから、こういう場合は、その道はご自宅の敷地の一部、と考えます(上記の「特定の者が通る道」には該当しません)。

想う相続税理士秘書

国税庁HPの「その他のお知らせ」を見てみる

このような取扱いとなった経緯について、過去の判決内容も含めて確認してみましょう。

財産評価基本通達24((私道の用に供されている宅地の評価))における「歩道状空地」の用に供されている宅地の取扱いについて
2 最高裁判決を踏まえた「歩道状空地」の用に供されている宅地の取扱い
(1) 最高裁判決の判示事項
最高裁判所平成29年2月28日判決(以下「最高裁判決」といいます。)において、「私道の用に供されている宅地につき客観的交換価値が低下するものとして減額されるべき場合を、建築基準法等の法令によって建築制限や私道の変更等の制限などの制約が課されている場合に限定する理由はなく、そのような宅地の相続税に係る財産の評価における減額の要否及び程度は、私道としての利用に関する建築基準法等の法令上の制約の有無のみならず、当該宅地の位置関係、形状等や道路としての利用状況、これらを踏まえた道路以外の用途への転用の難易等に照らし、当該宅地の客観的交換価値に低下が認められるか否か、また、その低下がどの程度かを考慮して決定する必要があるというべきである。
これを本件についてみると、本件各歩道状空地は、車道に沿って幅員2mの歩道としてインターロッキング舗装が施されたもので、いずれも相応の面積がある上に、本件各共同住宅の居住者等以外の第三者による自由な通行の用に供されていることがうかがわれる。また、本件各歩道状空地は、いずれも本件各共同住宅を建築する際、都市計画法所定の開発行為の許可を受けるために、市の指導要綱等を踏まえた行政指導によって私道の用に供されるに至ったものであり、本件各共同住宅が存在する限りにおいて、上告人らが道路以外の用途へ転用することが容易であるとは認め難い。そして、これらの事情に照らせば、本件各共同住宅の建築のための開発行為が被相続人による選択の結果であるとしても、このことから直ちに本件各歩道状空地について減額して評価をする必要がないということはできない。」と判示されました。

想う相続税理士

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