相続税専門税理士の富山です。
今回は、農地等の贈与について、お話します。
農地等の贈与税の納税猶予等
租税特別措置法(一部抜粋加工)
第70条の4 農地等を贈与した場合の贈与税の納税猶予及び免除
農業を営む個人で政令で定める者が、その農業の用に供している農地の全部及び当該用に供している採草放牧地のうち政令で定める部分並びに当該農地及び採草放牧地とともに農業振興地域の整備に関する法律第8条第2項第1号に規定する農用地区域として定められている区域内にある土地で農地又は採草放牧地に準ずるものとして政令で定めるもののうち政令で定める部分を当該贈与者の推定相続人で政令で定める者のうちの1人の者に贈与した場合には、当該農地及び採草放牧地並びに準農地の贈与を受けた者の当該贈与の日の属する年分の相続税法第28条第1項の規定による期限内申告書の提出により納付すべき贈与税の額のうち、当該農地等の価額に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額に相当する贈与税については、当該年分の贈与税の申告書の提出期限までに当該納税猶予分の贈与税額に相当する担保を提供した場合に限り、同法第33条の規定にかかわらず、当該贈与者の死亡の日まで、その納税を猶予する。
農業を営んでいる方が、一定の農地等を農業後継者である推定相続人の1人に贈与した場合、一定の要件に該当すれば、その農地等の贈与に係る贈与税は猶予され、一定の場合には、免除されます(相続税の課税対象になる場合もありますが、一定の要件に該当すれば、今度は「農地等についての『相続税』の納税猶予及び免除等」の適用を受けることができます)。
「農業を営む個人で政令で定める者」とは?
上記の出だしの「農業を営む個人で政令で定める者」は、次のように規定されています。
租税特別措置法施行令(一部抜粋加工)
法第70条の4第1項に規定する農業を営む個人で政令で定める者は、同項に規定する農地等の同項本文に規定する贈与をした日まで引き続き3年以上農業を営んでいた個人で次に掲げる場合に該当する者以外の者とする。
贈与者が次に掲げる場合に該当すると、農地等の贈与税の納税猶予等は適用できません。
一 当該贈与をした日の属する年の前年以前において、その農業の用に供していた法第70条の4第1項に規定する農地をその者の推定相続人に対し贈与をしている場合であつて当該農地が相続税法第21条の9(相続時精算課税の選択)第3項の規定の適用を受けるものであるとき。
前年以前において、一定の農地等を、推定相続人に対して、相続時精算課税により贈与している場合には、農地等の贈与税の納税猶予等は適用できない、ということになります。
納税猶予の適用を受けるなら相続時精算課税は適用できない
また、次のようにも規定されています。
租税特別措置法(一部抜粋加工)
第70条の4 農地等を贈与した場合の贈与税の納税猶予及び免除
3 次に掲げる者がその者に係る相続税法第21条の9(相続時精算課税の選択)第5項に規定する特定贈与者からの贈与により取得した農地等について第1項(農地等の贈与税の納税猶予等)の規定の適用を受ける場合には、同項の規定の適用を受ける農地等については、同法第二章第三節(相続時精算課税)の規定は、適用しない。
一 相続税法第21条の9第5項に規定する相続時精算課税適用者
二 第1項の規定の適用を受ける農地等を贈与により取得した日の属する年中において、当該農地等の贈与をした者から贈与を受けた当該農地等以外の財産について、相続税法第21条の9第2項(第70条の3第1項において準用する場合を含む。)の届出書を提出する者
相続時精算課税適用者や、その年の農地等以外の贈与について相続時精算課税選択届出書を提出する方は、農地等の贈与税の納税猶予の適用を受ける場合には、その農地等については、相続時精算課税の適用を受けることができません。
想う相続税理士