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翌年3月15日までに居住が間に合わなくても贈与税の配偶者控除は適用できる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、「おしどり贈与」と言われる「贈与税の配偶者控除」の適用要件について、お話します。


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翌年の3月15日までに現実に住んでいることが要件

婚姻期間が20年以上の夫婦の間において、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与をした場合には、暦年課税による贈与に係る基礎控除額110万円とは別に、2,000万円の非課税枠(「贈与税の配偶者控除」)を適用することができます。

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
特例の適用を受けるための要件
(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。
(2) 配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭であること。
(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。

上記にあるとおり、この適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その贈与に係る居住用不動産に現実に住んでいることが要件となります。

「家が完成していなくてもいい」っていう取扱いはなかったっけ?

誤りやすい項目集(資産税関係)
令和6年12月
関東信越国税局 資産課税課(一部抜粋加工)
《贈与税の配偶者控除の特例》
【誤り事例】
甲は、配偶者から令和6年11 月に土地(評価額1,000 万円)及び現金1,100 万円の贈与を受けて、その土地の上に居住用家屋を新築する請負契約を締結した。
家屋は令和7年5月に完成予定であったが、令和7年3月15 日の時点において新築の工事が完了に準ずる状態(屋根を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態)にあったことから、本特例を適用して申告をした。
⇒ 令和7年3月15 日までに居住用不動産の取得及び居住開始をしていないため、この特例を適用することはできない。
【留意事項】
贈与税の配偶者控除の特例について、贈与を受けた金銭で居住用不動産を取得する場合には、原則として、贈与を受けた年の翌年3月15 日までに不動産の取得を行い、かつ、同日までに居住を開始する必要があります。
※ 「住宅取得等資金の非課税」とは異なり、贈与を受けた年の翌年3月15 日の時点において、①不動産の取得をしたが居住を開始していない場合又は②居住用の家屋の建築中で、新築の工事が完了に準ずる状態(屋根を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態)にある場合は、特例を適用することができません。

「『直系尊属から』住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」の制度においては、「棟上げ基準」的なものがあるのですが(贈与を受けた年の翌年12月31日までに居住の用に供する必要があります)、「配偶者から」の贈与の場合には、そのような取扱規定はありません。

やむを得ない事情がある場合には表示登記ができる状態まで完成していれば可能性有

贈与を受けた年の翌年3月15日までに工事が完成し、居住を開始していないと、絶対にダメか、というと、そんなことはありません。

国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋加工)
贈与税の配偶者控除の適用を受ける場合における居住用不動産の居住の用に供する時期
【照会要旨】
婚姻期間が20年以上である配偶者から土地及び金銭の贈与を受け、その金銭をもってその土地の上に居住用の家屋を建築し、贈与の日の翌年3月15日までに受贈者が当該家屋に居住する予定でした。しかし、家屋の建築工事が、請負人が病気になってしまったために遅れてしまいました。この場合、翌年3月15日以前に当該家屋の建築工事に着手し、かつ、その家屋の完成後は、受贈者が居住の用に供することが確実と認められるときは、贈与税の配偶者控除を適用することができますか。
【回答要旨】
照会のようなやむを得ない事情により家屋の建築工事が遅れた場合においては贈与の日の翌日から翌年3月15日までに当該家屋について屋根及び周壁が完成しているなど表示登記のできる状態まで進行しており、その後速やかに当該家屋の建築が完成し、居住の用に供されることが確実であると認められるときは、贈与税の配偶者控除の適用が認められます。

想う相続税理士

この特例の適用を受けるためには、一定の書類を添付して、贈与税の申告をすることが要件となりますので、ご注意を。