相続税専門税理士の富山です。
今回は、路線価地域に所在する「区分地上権に準ずる地役権の目的となっている宅地」や「区分地上権の目的となっている宅地」を評価する場合における、単価(路線価)の注意点について、お話します。
高圧線の下の土地は建物の建築が制限される
国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋加工)
区分地上権に準ずる地役権の目的となっている宅地の評価【照会要旨】
特別高圧架空電線の架設を目的とする地役権が設定されている図(↑上記の図)のような宅地の価額はどのように評価するのでしょうか。【回答要旨】
地役権が設定されている宅地の価額は、承役地である部分も含め全体を1画地の宅地として評価した価額から、その承役地である部分を1画地として計算した自用地価額を基に、土地利用制限率を基に評価した区分地上権に準ずる地役権の価額を控除して評価します。
土地の上空を高圧線の電線が走っていると、土地に利用制限がかかります。
その利用制限の程度に応じて計算した「土地利用制限率」を基に「区分地上権に準ずる地役権の価額」を求め、その分だけ土地を安く評価することができます。
つまり、
通常の価額(自用地価額)△区分地上権に準ずる地役権の価額
と計算します。
この「区分地上権に準ずる地役権の価額」は、自用地価額に次の(1)または(2)の割合を「区分地上権に準ずる地役権の割合」として乗ずることで計算することも可能です。
(2)家屋の構造、用途等に制限を受ける場合・・・100分の30
「区分地上権に準ずる地役権の価額」の単価(路線価)は?
上図の土地は、全体の自用地価額が1億5,300万円です。
「区分地上権に準ずる地役権の割合」が上記(2)の30%だとすると、
1億5,300万円△1億5,300万円×30%=1億710万円
と計算するのかと言うと、そんなことはありません。
30%を乗ずるのは、地役権が設定されている上図の網掛け部分のみです。
上図の土地全体の自用地価額は1億5,300万円とお話しましたが、この土地の正面路線は、路線価が途中で変わっていて、
(52万円×10m+50万円×10m)/20m=51万円
という単価(路線価)で計算されています。
網掛け部分は路線価50万円の路線にのみ面しているため、50万円の路線価により
50万円×奥行価格補正率1.00×地積120㎡×30%=1,800万円
と計算します。
その結果、この土地の評価額は、
1億5,300万円△1,800万円=1億3,500万円
となります。
「区分地上権に準ずる地役権の価額」を、単価(路線価)51万円で計算しない、という回答になっています。
全体の土地の(自用地としての)評価額を単価(路線価)51万円で計算したのだから、そのうちの一部分としての網掛け部分も51万円ベースになるのかと言うと、そうではない、ということです。
「区分地上権の価額」の単価(路線価)は?
相続財産である土地の地下を、地下鉄のトンネルが走っている場合、上記と同様に、
通常の価額(自用地価額)△区分地上権の価額
と計算します。
想う相続税理士秘書

ただし、この場合の「区分地上権の価額」は、区分地上権が土地の一部にしか設定されていなかったとしても、「自用地価額」と同じ単価(全体の土地の単価)で計算します。
上図の例で言えば、51万円で計算するのです。
財産評価基本通達(一部抜粋加工)
27-4 区分地上権の評価
(注)2 区分地上権が1画地の宅地の一部分に設定されているときは、「その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額」は、1画地の宅地の自用地としての価額のうち、その区分地上権が設定されている部分の地積に対応する価額となることに留意する。
上記の「地積に対応する価額」というのは、面積按分しろ、ということです。
つまり、「同じ単価」ということになります。
想う相続税理士
したがって、上記の質疑応答事例の回答のような評価(単価は別途計算)になっているものと思われます。