【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

準確定申告における事業税の見込額計上と相続税申告における債務控除

相続税専門税理士の富山です。

今回は、亡くなった方の亡くなった年分の事業税について、お話します。


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事業税はいつ経費になる?

原則として、令和6年分の所得については、令和7年3月15日までに確定申告をし、その後、その令和6年分の所得に対する事業税の書類が、令和7年の8月頃に届きます。

この令和6年分の所得に対する事業税は、何年分の経費になるのでしょうか?

所得税基本通達(一部抜粋)
37-6 その年分の必要経費に算入する租税
法第37条第1項の規定によりその年分の各種所得の金額の計算上必要経費に算入する国税及び地方税は、その年12月31日(年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時。以下この項において同じ。)までに申告等により納付すべきことが具体的に確定したものとする。ただし、次に掲げる税額については、それぞれ次による。
(3) 賦課課税方式による租税のうち納期が分割して定められている税額 各納期の税額をそれぞれ納期の開始の日又は実際に納付した日の属する年分の必要経費に算入することができる。

事業税は、賦課課税方式による税金なので、都道府県が税額を計算してくれます。

上記によれば、令和6年分の所得に対する事業税は、原則として、令和7年分の経費になる、ということになります。

亡くなった方の亡くなった年分の事業税

個人事業主であるAさんが、令和6年に亡くなったとします。

その事業を長男Bさんが引き継いだとします。

上記の取扱いに従った場合、Aさんの令和6年分の所得に対する事業税は、Bさんの令和7年分の経費になります。

事業を廃止した場合には準確定申告で見込額計上可能

所得税基本通達(一部抜粋加工)
37-7 事業を廃止した年分の所得につき課税される事業税の見込控除
事業税を課税される事業を営む者が当該事業を廃止した場合における当該廃止した年分の所得につき課税される事業税については、37-6にかかわらず、当該事業税の課税見込額を当該年分の当該事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入することができるものとする。

Aさんの事業をBさんが引き継がず、Aさんの事業を廃止した場合、Aさんの令和6年分の所得に対する事業税の「見込額」は、Aさんの令和6年分の確定申告(準確定申告)の経費にすることができます。

(注) 事業を廃止した年分の所得につき課税される事業税について上記の取扱いによらない場合には、当該事業税の賦課決定があった時において、法第63条《事業を廃止した場合の必要経費の特例》及び第152条《各種所得の金額に異動を生じた場合の更正の請求の特例》の規定の適用がある。

もし、見込額を計算して準確定申告に間に合わせなかった場合には、一定の要件を満たせば、更正の請求(ザックリ言うと、準確定申告のやり直し)が可能です。

事業税の「見込額」は相続税の債務控除は可能?

個人事業主であるAさんが、令和6年に亡くなり、そのAさんの令和6年分の所得に対する事業税の書類が、Aさんの相続税の申告期限までに届けば、その事業税の金額は、債務控除の対象とすることができます。

もし、事業税の書類の到着が、相続税の申告期限までに間に合わなければ、このタイミングで債務控除する場合、金額は正式には確定していませんが、上記の「見込額」を債務控除の対象とせざるを得ないものと思われます。

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋加工)
No.4126 相続財産から控除できる債務
概要
相続税を計算するときは、被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額(注)から差し引くことができます。
遺産総額から差し引くことができる債務
(1) 債務
差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときに現に存在した被相続人の債務(借入金や未払金など)で確実と認められるものです。
なお、被相続人に課される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付または徴収されることになった所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないものであっても、債務として遺産総額から差し引くことができます

想う相続税理士

事業税の「見込額」を計算する際には、所得税との計算方法の違いにも、ご注意を。