【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税の基本的な考え方をつい忘れてしまうと税務調査で指摘されてしまうモノとは?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の税務調査で指摘されやすい「現金・預貯金」について、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


相続税の申告対象となる財産とは?

相続税の申告対象となる財産は、「亡くなった方が亡くなった日現在に持っていた財産」です。

亡くなった方の通帳を拝見すると、お亡くなりになる直前に口座からお金が引き出されていて、それについて相続人の方にお尋ねすると、「これは葬式費用に充てるために引き出したもの。葬式費用は経費になるんでしょ?」というようなことをおっしゃられることがあります。

確かに、葬式費用は香典返戻費用を除くなどの注意点はありますが、相続税の計算上、プラスの財産から差し引くことができますので、経費という表現は正確ではないかもしれませんが、葬式費用がある分だけ、相続税が安くなります。

しかし、相続税の申告書上は、あくまでも「亡くなった日時点における財産」を計上する必要があります。

預貯金が減った分、現金が増えてない?

亡くなった日時点では、まだ葬儀会社に葬儀費用を払っていませんから、口座から引き出して、「現金」としてお手元にあったはずです。

それならば、「現金」として申告する必要があります。

そして、その現金を計上した上で、債務や葬式費用を記載する相続税申告書第13表「債務及び葬式費用の明細書」において葬式費用を計上して、プラスの財産から控除することになります。

「第13表で葬式費用を計上」して、「亡くなる直前に通帳から引き出したお金は経費になる葬式費用に使ったのだから問題ない、引き出した後の預貯金の残高を計上すればOK」というような申告書を作ってしまうと、葬式費用が二重に引かれることになってしまいます。

亡くなった日時点において、お手元にあった現金はいくらか、を生前の預貯金の通帳を見て確認しておく必要があります。

その通帳のお金、本当に相続人のモノ?

相続税の申告は、「亡くなった方が亡くなった日現在に持っていた財産を計上する必要がある」とお話しましたが、この場合の「亡くなった方が持っていた財産」というのは、亡くなった方の名義になっている財産、という意味ではありません。

「実質的に」亡くなった方が持っている財産は全て計上対象です。

具体例でお話しますと、その亡くなった方以外の方(例えば長男)の名義になっている預貯金であったとしても、その預貯金が、亡くなった方が稼いだりしたお金により構成されていて、亡くなった方から長男に贈与により移転したモノでない場合には、長男の名前(名義)になっているとしても、その亡くなった方の財産ということになります。

「亡くなった方が長男の名義を借りてお金を積んでいる」というように税務署は見ます。

想う相続税理士

現金や預貯金は、相続税の基本的な考え方をつい忘れてしまうと計上もれになりやすいので、ご注意を。