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相続税専門税理士㊙カード69【債務の承継】


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亡くなった方の債務を承継するのは誰?

【原則】債務は法定相続分に応じて承継することになる

出典:TAINS(Z999-5252)(一部抜粋加工)
昭和29年4月8日判決
相続人数人ある場合において、その相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解するを相当とするから、所論は採用できない。

民法(一部抜粋加工)
(相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使)
第九百二条の二 被相続人が相続開始の時において有した債務の債権者は、前条(遺言による相続分の指定)の規定による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、第九百条(法定相続分)及び第九百一条(代襲相続人の相続分)の規定により算定した相続分に応じてその権利を行使することができる。

【例外】債務の承継内容を遺産分割協議により決定することができる(法定相続分じゃなくてもOK)

ただし、それには債権者の承諾・承認が必要

民法(一部抜粋)
(免責的債務引受の要件及び効果)
第四百七十二条 免責的債務引受の引受人は債務者が債権者に対して負担する債務と同一の内容の債務を負担し、債務者は自己の債務を免れる。
2 免責的債務引受は、債権者と引受人となる者との契約によってすることができる。この場合において、免責的債務引受は、債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。
3 免責的債務引受は、債務者と引受人となる者が契約をし、債権者が引受人となる者に対して承諾をすることによってもすることができる。

ただし、その債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りでない。

例えば、相続人が長女と二女の2人で、亡くなった方に2,000万円の銀行借入金があったとする

遺産分割協議により、長女がこの借入金(全額)を承継することを決めたが、銀行の承諾・承認を得ていない場合、上記の「免責的債務引受」にはなっていないから、銀行は二女に対して1,000万円(2,000万円×二女の法定相続分1/2)の返済を請求することができる

遺産分割協議により、長女が借入金全額を負担する、と決めたのに、二女が銀行から1,000万円(2,000万円×二女の法定相続分1/2)の返済を請求されるのは話が違うから、二女は長女に対して1,000万円の求償権を取得することになる

このようなことにならないよう、免責的債務引受を実現するために(銀行の承諾・承認を得られるようにするために)、財産に関する遺産分割協議の内容に留意する必要がある

まず、債務の引受人=長女に資力があるような状態にすることを検討する(元々財産を持っていない場合)

具体的には、長女に財産を多く相続してもらう

ただし、長女に財産を多く相続してもらったとしても(元々財産を持っていたとしても)、それが不動産だったり、また、長女に定期収入がないなど、銀行借入金の返済原資を捻出できないと銀行が判断すると、銀行が免責的債務引受を承諾しない場合も考えられる

そのようなケースが考えられる場合には、二女が債務を承継することも検討する(当初の遺産分割協議を最初から再検討する)

ただし、その銀行借入金が亡くなった方のご自宅に係る住宅ローンであり、亡くなった方のご自宅は同居していた長女が相続する、というような場合には、ご自宅と銀行借入金をセットで長女が相続・承継すべきである

また、そのようなケースでは、ご自宅が住宅ローンの担保になっていることが多いと思われる

このような場合、銀行は、いざとなったら(長女が銀行借入金を返済できなかったら)ご自宅を売却して回収できるので、免責的債務引受を承諾して長女を債務の引受人として認めると思われるが、それはその時点でのご自宅の担保価値による