【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

自宅の敷地が広い場合の相続税対策は?相続時精算課税と小規模宅地等の特例の注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、自宅の敷地が広い場合に、相続時精算課税による贈与と小規模宅地等の特例をどのように考えるべきかについて、お話します。


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自宅の敷地が広いと小規模宅地等の特例を全体に適用できない場合がある

相続対策を考えるとき、自宅の土地には小規模宅地等の特例が使えるので安心だ、と考える方は少なくありません。

たしかに、自宅の敷地については、一定の要件を満たせば、特定居住用宅地等として大きな評価減を受けられる可能性があります。

しかし、ここで見落としやすいのが、特例には面積の上限があるという点です。

特定居住用宅地等として評価減の対象になるのは、原則として330㎡までです。

そのため、自宅の敷地がかなり広い場合には、全部の土地に特例の恩恵が及ぶわけではありません。

言い換えれば、自宅の敷地のうち、330㎡を超える部分については、特例の効果を受けられない可能性があるということです。

そうすると、広い土地をお持ちの方については、「どうせ全部を特例でカバーできないのであれば、特例が及ばない部分を生前に動かすことはできないか?」という発想が出てきます。

ここで検討対象になりやすいのが、相続時精算課税です。

税制改正により、基礎控除額部分については、贈与税も相続税も非課税となったため、以前よりも使い方を検討しやすくなった面があります。

そのため、将来、小規模宅地等の特例の恩恵を受けにくい部分について、相続時精算課税により早めに子や孫へ移すことを考える場面もあり得ます。

ただし、この発想は一見分かりやすいようでいて、実際にはかなり慎重な検討が必要です。

相続時精算課税で贈与した土地には小規模宅地等の特例が使えない

ここで大切なのは、相続時精算課税で贈与した財産は、相続の時に小規模宅地等の特例の対象にはならない、という点です。

つまり、先に贈与した土地については、後で相続が発生したときに、「やはり自宅の敷地だから特例を使いたい」と考えても、その土地自体に特例を適用することはできません。

この点を踏まえると、相続時精算課税を使うのであれば、「小規模宅地等の特例を使いたい部分」「使えなくてもよい、あるいは使いにくい部分」をきちんと分けて考える必要があります。

たとえば、自宅敷地のうち、相続時に特定居住用宅地等として評価減を受けたい中核部分は残し、それ以外の部分のうち、特例の恩恵が及びにくいところを生前に移す、という考え方です。

このように整理できれば、将来特例を使いたい土地を残しつつ、特例の限度を超えてしまう部分については、相続時精算課税の基礎控除の活用を検討する余地が出てきます。

もっとも、ここで単純に「余りの土地を贈与すればよい」と考えるのは危険です。

なぜなら、どの部分が本当に特定居住用宅地等として残るのかは、登記簿上の筆の分かれ方や面積だけで機械的に決まるわけではないからです。

どこに建物があるのか、通路はどうなっているのか、庭や駐車場は生活に通常必要な範囲なのかなど、実際の利用状況を踏まえて見ていく必要があります。

そのため、相続時精算課税を使う場合には、税額だけでなく、「どの部分に将来小規模宅地等の特例を適用するのか」を先に考えることが重要です。

広い自宅敷地では「どこまでが自宅の敷地か」の説明ができるようにしておくことが重要

自宅の敷地が広いケースでは、特に注意したいのが、「どこまでが自宅の敷地として評価されるのか」という論点です。

広い土地では、全部が同じように自宅のために使われているとは限りません。

現実には、建物の敷地として明らかな部分の他に、庭として使っている部分、通路部分、車を置いている部分、あるいは利用実態が曖昧な部分が混在していることがあります。

このような場合に、生前贈与の仕方を誤ると、贈与しなかった部分について、相続時に「本当に居住用の敷地といえるのか」という疑問が生じるおそれがあります。

つまり、単に面積調整のために土地の一部を贈与するのではなく、残った部分が被相続人の自宅の敷地であると説明しやすい形で整理しておく必要があるのです。

相続時精算課税を使って生前贈与をするのであれば、贈与する部分の選び方が重要です。

残すべき部分については、建物との位置関係や日常生活との結びつきが分かりやすく、特定居住用宅地等として説明しやすい状態を意識したいところです。

反対に、その説明が弱くなるような分け方をしてしまうと、せっかく相続対策として行った贈与が、全体としてみると得策ではなかったということにもなりかねません。

広い自宅敷地では、相続時精算課税と小規模宅地等の特例を別々に考えるのではなく、両者を一体で設計することが大切です。

どの土地を先に移し、どの土地を相続まで残すのか。

その線引きを誤らないことが、相続税対策の成否を左右します。

想う相続税理士

自宅の敷地が広い場合には、小規模宅地等の特例の上限である330㎡を意識しながら、どの部分を相続時まで残すべきかを考える必要があります。

相続時精算課税による贈与は有力な選択肢になり得ますが、その贈与財産には小規模宅地等の特例が使えないため、安易な判断は禁物です。

残した土地について、居住用の敷地であると説明しやすい形を整えながら、生前贈与と相続時の特例適用を一体で考えることが大切です。