【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

上場株式を相続時精算課税により早期に贈与することのメリットとは?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続時精算課税により上場株式を贈与することのメリットについて、お話します。


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相続で取得した上場株式を相続後に売却した場合

相続で上場株式を取得した場合、

  1. 亡くなった日の最終価格(株価)
  2. 亡くなった月の毎日の最終価格の月平均額
  3. 亡くなった月の前月の毎日の最終価格の月平均額
  4. 亡くなった月の前々月の毎日の最終価格の月平均額
のいずれか低い金額により評価します。

その株価で相続税評価額が確定するのです。

しかし、その上場株式を売却して納税資金を捻出する場合には、その「売却時点の株価」で現金化できる金額が決まります。

A株式10,000株をBさんが相続で取得し、その相続税評価額が1,000万円(@1,000円)でした。

相続税は、この1,000万円に対して課税されます。

このA株式が遺産分割協議後すぐに値上がりし、2,000万円(@2,000円)になりました。

その時にBさんがA株式を売却すれば、手元に2,000万円の現金を確保することができます。

それでも、Bさんが納付する相続税は1,000万円の財産分だけでいいのです。

相続時精算課税贈与財産である上場株式を相続後に売却した場合

上記とよく似た話で、相続時精算課税制度を活用した相続税の節税の話をお聞きになったことがある方も多いかもしれません。

C株式10,000株を持っているDさんがいました。

現時点の相続税評価額は1,000万円(@1,000円)です。

このCさんが3年後に亡くなるのですが、その時の相続税評価額は3,000万円(@3,000円)となります(上記①②③④がすべて@3,000円だとします)。

DさんがこのC株式を、今(1,000万円(@1,000円)の時に)、長男Eさんに相続時精算課税により贈与をするとします。

相続時精算課税による贈与財産は相続税の課税対象になるため、このC株式はDさんが亡くなった際、相続税がかかります。

しかし、亡くなった時の相続税評価額3,000万円(@3,000円)ではなく、贈与した時の1,000万円(@1,000円)で相続税が課税されます(基礎控除額の適用はないものとしてお話します)。

長男Eさんが相続後すぐに3,000万円(@3,000円)で売却すれば、手元に3,000万円の現金を確保することができます。

それでも、Eさんが納付する相続税は1,000万円の財産分だけでいいのです。

相続時精算課税贈与財産である上場株式を相続後に売却した場合

長男Eさんは、上記のC株式をDさんが亡くなる前に売却することも可能です。

もし、贈与により取得した後1年後に(Dさんが亡くなる2年前に)相続税評価額が4,000万円(@4,000円)(上記①②③④がすべて@4,000円だとします)になったタイミングがあったとします。

その時に売却すれば、長男Eさんは手元に4,000万円の現金を確保することができます。

それでも、Eさんが納付する相続税は1,000万円の財産分だけでいいのです。

相続時精算課税による贈与は、相続の時に値上がりしているとトクをする、と思っている方がいるかもしれませんが、手放してもいい財産であれば(同族会社の株式だったりしなければ)、相続の前に値上がりしても(その時に売却すれば)トクをするのです。

逆に、Dさんが亡くなった時の相続税評価額が500万円(@500円)だと、それでも贈与した時の相続税評価額1,000万円(@1,000円)で相続税が課税されますので、損をする感じがするかもしれませんが、そのようなリスクを避けたければ、生前に高くなったタイミングで売却することを検討しましょう。

想う相続税理士

相続で取得する財産は、相続後でなければ売却することができません。

それに対して、贈与により取得した財産は、贈与後ならいつでも売却できます。

高くなった時に売り抜けることができます。

相続時精算課税による財産の贈与は、現金化の機会(チャンス)を増やせるというメリットがあるのです。