【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

「遺跡が埋まっている土地」を相続で取得したらどう評価すればいい?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、埋蔵文化財包蔵地(いわゆる「遺跡が埋まっている土地」)の相続税評価の考え方について、国税庁HPの資料(「埋蔵文化財包蔵地の評価」)を基に、お話します。


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埋蔵文化財包蔵地を相続で取得すると厄介?

相続で取得した土地が「周知の(みんなが知っている)埋蔵文化財包蔵地」に当たると、将来その土地で工事等をする場面で、届出や調査が必要になることがあります。

たとえば、周知の埋蔵文化財包蔵地を土木工事等の目的で発掘しようとする場合、文化庁長官への届出が必要で、必要があれば発掘調査の実施等が指示され得ます。

また、土地の所有者等が、出土品の出土などにより遺跡と認められるものを発見したときは、現状変更をせず遅滞なく届出をすることが求められます。

相続で取得した方にとっては、「将来の工事に際して調査や手続きの負担が増える可能性がある」ことが、土地の実質的な価値を損なう要因になると感じがちです。

ここで重要なのは、相続税評価の世界では、その「影響」をどう金額に落とし込むかがルール化されている、という点です。

発掘調査費用相当額を控除して評価する

国税庁HPの資料では、埋蔵文化財包蔵地の評価方式として、原価方式・比較方式・収益還元方式の3つが考えられると整理されています。

ただし、売買実例の収集が難しいことなどから、比較方式や収益還元方式を標準的な方法とするのは難しい、という考え方が示されています。

そこで、課税実務上の取扱いとして定着している合理的な方法として、「文化財がないものとした場合の価額」から「発掘調査費用に相当する金額」を控除する(いわゆる「原価方式」の考え方)が用いられる、という整理になっています。

評価の骨格はシンプルで、次のイメージです。

「文化財がないものとした場合の価額」は、文化財がない前提で、路線価等に基づき評価した価額をいいます。

そして「発掘調査費用に相当する金額」は、発掘調査費用の見積額の80%相当額とされています。

見積額は、課税時期において最も合理的と認められる措置に基づき算定するのが相当、とされています。

つまり、相続税評価で大切なのは、「その土地が遺跡っぽい」という印象論ではなく、課税時期を基準に、合理的な見積りとして発掘調査費用を把握できるか、という実務の組み立てになります。

本当に発掘調査費用がかかる?

まず、そもそも「埋蔵文化財包蔵地として評価する土地」は、課税時期において埋蔵文化財を包蔵する土地とされています。

「包蔵する可能性がある」といった潜在的な段階では、埋蔵文化財包蔵地として評価することはできません。

次に、周知の埋蔵文化財包蔵地に該当しない場合でも、埋蔵文化財を包蔵する土地であれば、周知の埋蔵文化財包蔵地と同様に発掘調査等を実施することもあるため、評価の適用があり得る、という整理がされています。

その理由として、周知の包蔵地以外から文化財が出土した場合でも、届出義務があり、文化財の重要度に応じて土地所有者等に経済的負担が生ずる可能性がある点が挙げられています。

さらに、自治体の運用によっては、周知の包蔵地に隣接する場合や一定の敷地面積以上の開発の場合などに、試掘調査や発掘調査を実施することがある、とされています。

三つ目が、控除できるはずの「発掘調査費用相当額」が、結果として「ゼロ扱い」になる場面がある点です。

国税庁HPの資料では、土地所有者において発掘調査費用の負担が生じない土地のほか、標準的な土地利用や周辺の発掘調査の実施状況等を踏まえ、発掘調査費用が生ずる蓋然性が低いと認められる土地については、発掘調査費用に相当する金額はないものとして取り扱う、とされています。

つまり、「包蔵地っぽいから一律に引ける」という発想は危険で、費用負担や実施蓋然性の評価がセットになります。

また、控除の範囲に関して、発掘調査費用相当額が「文化財がないものとした場合の価額」を上回る場合には、その価額を限度とする、とされています。

さらに誤解されやすいのが、「使用収益制限による減価」「心理的要因による減価」を別途控除するのか、という点です。

埋蔵文化財包蔵地では、発掘調査を実施すれば土地の使用収益に支障がなくなるため、使用収益制限による減価相当額を控除する必要はない、とされています。

また、地中に埋蔵文化財があることに起因する心理的要因による減価は通常想定されないとして、心理的要因による減価相当額も控除不要、と整理されています。

相続人の方が実務で取り得る現実的な対応としては、次の流れが有効です。

第一に、課税時期において対象地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」か、あるいは包蔵が認められる土地なのかを、客観資料で確認することです。

第二に、発掘調査費用の見積りが必要な局面では、課税時期において最も合理的な措置に基づく見積りとして整えることです。

第三に、費用負担が生じない、または生ずる蓋然性が低い、と整理できる事情があるなら、その事情を丁寧に言語化し、証拠とともに整理しておくことです。

想う相続税理士

土地の相続税評価は、見た目や噂よりも、「課税時期時点の土地の状況の把握」「発掘調査費用の合理的な見積り」「負担の有無・蓋然性の判断」という軸で淡々と詰めるほど、後日の説明力が高まります。