相続税専門税理士の富山です。
今回は、配偶者の税額軽減を受ける場合には、相続税の申告書にどのような書類を添付しなければならないのか、ということについて、お話します。
配偶者の税額軽減は要件を満たすだけではダメ
相続税には、配偶者が財産を取得した場合に、税負担が大きく軽減される制度(「配偶者の税額軽減」と言います)があります。
この制度は非常に有名ですが、単に配偶者が財産を相続したというだけで当然に適用されるわけではありません。
相続税の申告書を提出する際に、一定の書類を添付する必要があります。
税務上は、誰がどの財産を取得したのかが客観的に確認できる状態になっていなければなりません。
そのため、相続税の申告では、財産の評価額を計算するだけでなく、財産の分け方が確定していることや、その財産を実際に取得したことを示す資料が重要になります。
たとえば、配偶者が不動産や預金を取得する予定であっても、口頭で話がまとまっているだけでは、税務上の要件を満たしません。
税務署から見て、内容を確認できる形で整っていることが大切です。
相続税の申告は、財産評価だけでなく、書類の整え方でも差が出ます。
制度の内容ばかりに目が向きがちですが、実際には、添付書類まで含めてきちんと準備する必要があります。
遺産分割協議書は誰が何を相続するのかを示す基本書類
配偶者の税額軽減を受ける際に、特に重要になるのが、遺産分割に関する書類です。
分かりやすくいえば、相続人全員などが、どの財産を誰が取得するかについて話し合って決めた内容を、書面にしたものです。
一般的には、遺産分割協議書がこれに当たります。
実務では、家族の中で話がまとまっていれば十分だと思われることがあります。
しかし、相続税申告では、話し合いがまとまっているだけでは足りません。
きちんと書面にして、関係者が署名し、押印し、その内容が真正なものであることを確認できる状態にしておく必要があります。
つまり、第三者が見ても、関係者全員がその内容に同意していることが分かる形にしておかなければなりません。
ここで注意したいのは、相続人の中に未成年者がいる場合や、判断能力の面で配慮が必要な方がいる場合です。
このようなケースでは、通常どおりにそのまま遺産分割協議を進められるとは限りません。
場合によっては、家庭裁判所で特別代理人の選任などの手続きが必要になることもあります。
そのため、単純に全員の名前を書いて印鑑をもらえば終わり、というわけではありません。
相続人の構成によっては、協議書の作成に入る前に確認しておかなければならない法的な論点があります。
また、日本に住所がない方が関係者に含まれている場合なども、注意が必要です。
また、遺言書の添付が必要となる場合もあります。
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財産の取得を証する書類は財産の種類によって異なります
もう一つ押さえておきたいのが、遺産分割協議書等以外の、財産の取得状況を示す書類です。
たとえば、話し合いによる分割ではなく、家庭裁判所の手続き等によって取得者が決まった場合には、その内容が分かる書面が必要になります。
また、亡くなったことをきっかけに支払われる一定の財産については、支払計算書など、取得したことが確認できる資料が重要になります。
生命保険金や死亡退職金などは、その典型例です。
これらは、不動産や預金のように、遺産分割協議書だけで足りるケースとは少し性質が異なります。
財産の種類によって、何をもって取得の証明とするかが変わってくるのです。
そのため、実務では、財産ごとに必要書類を整理する視点が欠かせません。
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