相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続時精算課税贈与により自社株の贈与を受けた後継者の立場で、相続放棄と遺留分の関係について、お話します。
相続放棄をすると生前贈与の取扱いが変わることがある

ホームズ、相続放棄をすると、その人は最初から相続人ではなかったことになるんだよね。
すると、その人が生前に受けていた贈与の取扱いも変わるのかい?
すると、その人が生前に受けていた贈与の取扱いも変わるのかい?
ワトスン君、その点はとても重要だよ。
遺留分を計算するときは、亡くなった時点の財産だけを見るとは限らない。
生前に特定の人へ渡された財産も、計算の対象に入ることがあるんだ。
けれども、その贈与がどこまで対象になるかは、受け取った人が相続人なのかどうかで変わることがあるんだよ。
遺留分を計算するときは、亡くなった時点の財産だけを見るとは限らない。
生前に特定の人へ渡された財産も、計算の対象に入ることがあるんだ。
けれども、その贈与がどこまで対象になるかは、受け取った人が相続人なのかどうかで変わることがあるんだよ。


ということは、子が多額の贈与を受けていても、その後に相続放棄をしたら、その贈与の見え方が変わる余地があるわけだね。
そのとおりだよ。
相続人に対する一定の贈与であれば、かなり前のものまで遺留分の計算で問題になることがある。
ところが、相続放棄によってその人が相続人ではない立場になると、相続人への贈与として扱う前提が崩れ、計算に入る範囲が狭くなる可能性があるんだ。
相続人に対する一定の贈与であれば、かなり前のものまで遺留分の計算で問題になることがある。
ところが、相続放棄によってその人が相続人ではない立場になると、相続人への贈与として扱う前提が崩れ、計算に入る範囲が狭くなる可能性があるんだ。


なるほど。
相続放棄は、相続財産を受け取るかどうかだけでなく、過去の贈与の位置付けにも影響するわけだ。
相続放棄は、相続財産を受け取るかどうかだけでなく、過去の贈与の位置付けにも影響するわけだ。
まさにそこなんだ。
だから、生前贈与がある家では、相続放棄をすると遺留分の計算がどう動くのかまで考えておかなければならないんだよ。
だから、生前贈与がある家では、相続放棄をすると遺留分の計算がどう動くのかまで考えておかなければならないんだよ。


しかしホームズ、それなら生前贈与を受けた人は、あとで相続放棄をすればいつでも有利になる、と考えてしまいそうだね。
そこは慎重に見なければいけないよ。
相続放棄をしたからといって、すべての贈与が当然に遺留分の計算から外れるわけではないからね。
相続放棄をしたからといって、すべての贈与が当然に遺留分の計算から外れるわけではないからね。

相続時精算課税で自社株の贈与を受けた後継者が相続放棄をする?

ホームズ、この考え方は、自社株の承継でも問題になるのかい?
もちろんだよ。
むしろ、自社株の承継では特に重要になりやすい。
たとえば、会社を継ぐ長男が、父から相続時精算課税を使って自社株の贈与を受けていたとしよう。
そうすると、その長男への生前贈与が、遺留分の計算に入ってくるかどうかが大きな争点になることがあるんだ。
むしろ、自社株の承継では特に重要になりやすい。
たとえば、会社を継ぐ長男が、父から相続時精算課税を使って自社株の贈与を受けていたとしよう。
そうすると、その長男への生前贈与が、遺留分の計算に入ってくるかどうかが大きな争点になることがあるんだ。


自社株は金額も大きくなりやすいから、計算に入るかどうかで結果がかなり違ってきそうだね。
そのとおりだよ。
後継者が過去に多額の自社株の贈与を受けていると、相続放棄をしなければ、その贈与が遺留分算定基礎財産に含まれ、他の相続人から遺留分侵害額請求を受ける余地が生じることがある。
ところが、後継者が相続放棄をした場合には、その後継者は相続人ではない立場になるから、その自社株贈与について、相続人に対する贈与として広く取り込む考え方が後退するんだ。
後継者が過去に多額の自社株の贈与を受けていると、相続放棄をしなければ、その贈与が遺留分算定基礎財産に含まれ、他の相続人から遺留分侵害額請求を受ける余地が生じることがある。
ところが、後継者が相続放棄をした場合には、その後継者は相続人ではない立場になるから、その自社株贈与について、相続人に対する贈与として広く取り込む考え方が後退するんだ。


すると、前に受けていた自社株の贈与が遺留分の計算に入らず、その結果として、他の相続人から金銭の請求を受けずに済む場面もあり得るわけだね。
そうなんだ。
事業承継の場面では、株式を後継者に集中させたい一方で、他の家族の遺留分との衝突が起こりやすい。
そこに相続放棄が絡むと、遺留分侵害額請求の結論が変わることがある。
だから、自社株の承継では、税金だけでなく、民法上の遺留分まで見据えて考えなければならないんだよ。
事業承継の場面では、株式を後継者に集中させたい一方で、他の家族の遺留分との衝突が起こりやすい。
そこに相続放棄が絡むと、遺留分侵害額請求の結論が変わることがある。
だから、自社株の承継では、税金だけでなく、民法上の遺留分まで見据えて考えなければならないんだよ。


相続時精算課税を使っている場合でも、その点は同じなのかい?
同じだよ。
相続時精算課税は税金の計算の仕組みだけれど、遺留分は民法の問題だ。
だから、税務では相続時精算課税による贈与財産を相続税の計算に反映させる場面があっても、遺留分では、相続放棄の有無によって、生前贈与の取扱いが別の角度から問題になるんだ。
ここを同じ感覚で考えてしまうと、判断を誤りやすいんだよ。
相続時精算課税は税金の計算の仕組みだけれど、遺留分は民法の問題だ。
だから、税務では相続時精算課税による贈与財産を相続税の計算に反映させる場面があっても、遺留分では、相続放棄の有無によって、生前贈与の取扱いが別の角度から問題になるんだ。
ここを同じ感覚で考えてしまうと、判断を誤りやすいんだよ。

相続放棄をすれば何でも解決するわけではない

ホームズ、では後継者は相続放棄をすれば安心、と言ってよいのかな。
そうは言い切れないよ、ワトスン君。
まず、相続開始のかなり直前に行われた贈与なら、相手が相続人かどうかにかかわらず、遺留分の計算で問題になることがある。
さらに、かなり前の贈与でも、他の遺留分権利者に不利益を与えることを分かった上で行われたと評価されれば、争いになる余地があるんだ。
まず、相続開始のかなり直前に行われた贈与なら、相手が相続人かどうかにかかわらず、遺留分の計算で問題になることがある。
さらに、かなり前の贈与でも、他の遺留分権利者に不利益を与えることを分かった上で行われたと評価されれば、争いになる余地があるんだ。


つまり、単に放棄さえすれば大丈夫、と単純化してはいけないんだね。
そのとおりだよ。
それに、問題になるのは時期だけではない。
その贈与が、婚姻のためのものなのか、養子縁組のためのものなのか、生計の基礎となる資金なのか、といった性質も見なければならない。
自社株の承継でも、単に株を渡したというだけでなく、なぜそのタイミングで、どのような目的で承継させたのかが重要になるんだ。
事業承継では、株価が高額になりやすいから、少し前提が変わるだけで、遺留分の結論も大きく動くんだよ。
それに、問題になるのは時期だけではない。
その贈与が、婚姻のためのものなのか、養子縁組のためのものなのか、生計の基礎となる資金なのか、といった性質も見なければならない。
自社株の承継でも、単に株を渡したというだけでなく、なぜそのタイミングで、どのような目的で承継させたのかが重要になるんだ。
事業承継では、株価が高額になりやすいから、少し前提が変わるだけで、遺留分の結論も大きく動くんだよ。


相続放棄には、相続財産を受け取れなくなるという面もあるから、遺留分だけ見て決めるわけにはいかないね。
そのとおりだよ。
相続放棄は、借金を引き継がないという効果だけでなく、相続人としての権利そのものを失わせる。
相続人の構成がガラッと変わる場合もある。
だから、遺留分侵害額請求を受けにくくなる可能性がある場面でも、それだけを理由に判断するのは危険なんだ。
相続全体、家族全体、そして税務全体を見て判断する必要があるんだよ。
相続放棄は、借金を引き継がないという効果だけでなく、相続人としての権利そのものを失わせる。
相続人の構成がガラッと変わる場合もある。
だから、遺留分侵害額請求を受けにくくなる可能性がある場面でも、それだけを理由に判断するのは危険なんだ。
相続全体、家族全体、そして税務全体を見て判断する必要があるんだよ。

想う相続税理士
相続時精算課税贈与は、相続時の相続税だけでなく、遺留分侵害額請求まで含めて検討する必要がありますので、ご注意を。
