相続税専門税理士の富山です。
今回は、「相当の地代通達2」について、お話します。
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同族会社に対する土地の貸付けに注意
国税庁HP・相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて(一部抜粋加工)
(相当の地代に満たない地代を支払って土地の借受けがあった場合)
2 借地権の設定に際しその設定の対価として通常権利金を支払う取引上の慣行のある地域において、当該借地権の設定により支払う地代の額が相当の地代の額に満たない場合、借地権者は、当該借地権の設定時において、次の算式により計算した金額から実際に支払っている権利金の額及び供与した特別の経済的利益の額を控除した金額に相当する利益を土地の所有者から贈与により取得したものとして取り扱う。
(算式)自用地としての価額×(借地権割合×(1-(実際に支払っている地代の年額-通常の地代の年額)/(相当の地代の年額-通常の地代の年額))
A「権利金を支払っていないけれども、相当の地代を支払っていない」という場合、または、B「権利金を支払っているけれど権利金の金額が少なくて、相当の地代を支払っていない」という場合、権利金をちゃんと支払わずにトクした分は、贈与になる、ということです。
同族会社に土地を貸す場合、権利金をちゃんともらっていますか?
A「権利金を支払っていないけれども、相当の地代を支払っていない」という場合
この場合には、上記の(算式)により計算した金額が、贈与税の課税対象となります。
- 土地Aの自用地としての相続税評価額:5,000万円
- 借地権割合:40%
- 相当の地代(年額):5,000万円×6%=300万円
- 実際の地代(年額):200万円
- 通常の地代(年額):300万円×(1-40%)=180万円
5,000万円×40%×(1-(200万円-180万円)/(300万円-180万円))=16,666,666円
B「権利金を支払っているけれど権利金の金額が少なくて、相当の地代を支払っていない」という場合
この場合には、上記の(算式)により計算した金額から、支払った権利金の金額を控除した金額が、贈与税の課税対象となります。
このBパターンの場合には、
(1)「自用地としての価額」は、実際に支払っている権利金の額又は供与した特別の経済的利益の額がある場合に限り、1((相当の地代を支払って土地の借受けがあった場合))の本文の定めにかかわらず、借地権の設定時における当該土地の通常の取引価額によるのであるから留意する。
に注意が必要です。
- 支払った権利金の金額:1,000万円
- 土地Aの自用地としての相続税評価額:5,000万円
- 土地Aの借地権の設定時における当該土地の通常の取引価額:6,250万円
- 借地権割合:40%
- 相当の地代(年額):5,000万円×6%=300万円
- 実際の地代(年額):200万円
- 通常の地代(年額):300万円×(1-40%)=180万円
6,250万円×40%×(1-(200万円-180万円)/(300万円-180万円))-1,000万円=10,833,333円
想う相続税理士
(3)「相当の地代の年額」は、実際に支払っている権利金の額又は供与した特別の経済的利益の額がある場合であっても、これらの金額がないものとして計算した金額による。