【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

コンビニ敷地と駐車場、土地評価は「別々」か「一体」か?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、コンビニエンスストアの敷地と駐車場として使われる土地を「別々に評価してよいのか」、また「相当地代通達の対象になるのか」が争われた裁決事例について、お話します。

出典:TAINS(F0-3-645)(一部抜粋加工)
平30-10-16裁決


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異なる地目の土地を一体評価

本件は、相続で取得した土地について、納税者側が「『店舗の敷地(宅地)』と『貸し付けられている駐車場用地(雑種地)』」のように区分して申告したところ、税務署側が「全体で一体の宅地(1画地)として評価すべきだ」として更正等をした、という構図です。

ここで大事なのは、登記簿上の地目や固定資産税の課税地目が何になっているかだけで結論が決まらない、という点です。

裁決では、店舗敷地と駐車場がフェンス等で分けられず、アスファルト舗装された駐車場として一体的に利用されている事実関係などから、「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地」として、全体を宅地(利用単位=1区画)で評価するのが相当と判断しています。

本件各土地は、本件店舗の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地であると認められる。 したがって、本件各土地は、本件1土地の地目を宅地、本件2土地の地目を雑種地と区分して評価するのではなく、その全体が利用の単位となっている1区画の宅地として評価するのが相当である。

感覚的には、「駐車場だけ切り離しても、その土地単体では役割が完結せず、店舗営業のために『セットで機能している』なら、セットで評価する」という整理です。

相続の現場でも、コンビニ・ドラッグストア・飲食店などで「敷地+駐車場」がセットになっているケースはよくありますので、まずは「現況の使われ方」から評価単位を確認するのが安全です。

相当の地代で80%評価

評価単位が「全体で宅地(1画地)」となると、次に問題になるのが「貸宅地をどう評価するか」です。

本件では、借地権設定に通常は権利金が動く地域である一方、賃借人側は権利金を支払っていません。

その代わりに、無利息の保証金(預託金)があり、利息相当額という「特別の経済的利益」がある、と整理されています。

そして、賃貸借契約開始時点の地代収受割合を計算すると6.51%となり、「おおむね年6%程度」を超えるため「相当の地代」に該当すると判断されています。

そこで、本件各土地を1画地の宅地として評価した上、本件賃貸借契約が開始した平成16年を基準とした本件各土地の自用地としての価額の過去3年間における平均額から特別の経済的利益の額を控除した金額に対する地代収受割合を算定すると、6.51%となり、相当地代通達(昭和60年6月5日付直資2-58ほか国税庁長官通達)1に定めるおおむね年6%程度を超えることから、本件賃貸借契約締結時における本件各土地に係る賃料は、同通達1に定める相当の地代に該当する。

この結果、「評価通達25(借地権割合を控除する評価)」ではなく、「相当地代通達6」によって、原則として自用地評価額の80%相当で評価する、という結論になります。

要するに、権利金をもらっていない一方で地代が高め(しかも保証金等で実質的に借主が有利)なら、「借地権がしっかり経済価値を持つ前提(=借地権割合控除)」では見ない、という考え方です。

ここは、納税者側が「第三者間で決めた通常の地代だ」と主張しても、裁決では「権利金の慣行がある地域で権利金の支払がなく、地代収受割合が6%超なら、権利金の代替として地代が高くなったとみるのが相当」と判断しています。

現地の現況・取引の現況を確認する

この裁決事例から学ぶ、相続税の土地評価で実務的に気を付けたい点は、次の3つです。

1つ目は、「地目が異なるから別々に評価する」という訳では必ずしもない、ということです。

登記上は宅地と雑種地に分かれていても、現況が店舗用地として一体なら、評価単位が「合体」する可能性があります。

2つ目は、地代が高い・保証金が大きい・無利息などの条件があると、相当地代通達が論点になり得る、ということです。

「権利金はないけど、その代わり地代が高い」「無利息の預託金がある」といった契約は、結果として評価が80%方向へ寄るリスクがあります。

3つ目は、「契約書に書いてないから適用されない」とは限らない、ということです。

本件でも「相当地代を払う」という明記がない点は主張されていますが、それでも事実関係(権利金の慣行、権利金なし、地代収受割合など)から判断されています。

特に、店舗敷地の賃貸借は契約期間も長く、相続が入ると「過去の契約条件」がそのまま論点として噴き上がります。

相続が近い・相続が発生した、というタイミングでは、土地の評価を決め打ちで進めるのではなく、契約書(賃貸借、保証金、終了時の取扱い等)と、現況(出入口、フェンス、舗装、実際の利用者の動線等)をセットで確認することが大切です。

想う相続税理士

通達を確認しましょう。

財産評価基本通達(一部抜粋加工)
7 土地の評価上の区分
土地の価額は、次に掲げる地目の別に評価する。ただし、一体として利用されている一団の土地が2以上の地目からなる場合には、その一団の土地は、そのうちの主たる地目からなるものとして、その一団の土地ごとに評価するものとする