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名義預金を解約した時に贈与があったモノとされた事例

相続税専門税理士の富山です。

今回は、名義預金を解約し、その解約金が各名義人の口座に振り込まれた時に贈与があったモノとされた事例について、お話します。

使えない預金は自分のモノじゃない

父が長男名義の預金口座を開設し、その口座にお金を預け入れた場合、そのお金を預け入れた時に、父から長男に贈与があったことになるのでしょうか?

父がその預金口座の存在を長男に伝えても、その預金の通帳や印鑑をそのまま持っている場合、税務署に「贈与は成立していない」と認定される恐れがあります。

父がその預金の通帳や印鑑を持っている、つまり管理しているということは、その預金の所有権を父が支配していることになります。

つまり、所有権が長男に移転していない、と見られる可能性があるのです。

所有権が移転していない、ということは、所有権は父のままですので、その状態で父が亡くなると、その預金は、長男名義だったとしても、父の相続財産として相続税の課税対象になります。

このように、実質的な所有者(父)と口座名義(長男)が異なる預金のことを、「名義預金」と言います。

亡くなる前に名義預金を解消すればセーフ?

名義預金の状態になっているのは、上記の例で言えば、父が生前に長男に財産を贈与することで相続税の課税対象を減らす「相続税対策」をしようとしたものの、長男にその預金を無駄遣いされたくないので、父がそのまま管理していた、というような事情が背景にあることが多いモノと思われます。

父が亡くなりそうになって、長男がいろいろ相続税について勉強したところ、「これは『名義預金』に該当してしまうな」と気付いたとします。

その場合、その預金を父に解約してもらい、亡くなる前に長男名義の口座にその解約金を入金しておけば、名義預金は無くなるので、税務署は何も言ってこなくなるのでしょうか?

解約して自由に使えるようになった時に贈与が成立

出典:TAINS(Z257-10720)(一部抜粋加工)
東京地方裁判所平成17年(行ウ)第615号相続税の更正処分取消等請求事件(棄却)
(確定)
平成19年5月31日判決

平成13年5月15日に、被相続人の承諾を得た上で、納税者が被相続人が管理していた納税者ら名義の各定期預金の解約手続を実行し、その解約金はすべて納税者らが管理していると認められる納税者ら名義の各普通預金口座に振り込まれたというのであるから、本件各定期預金は、その時点で被相続人から納税者らに対する贈与が行われ、その履行がされたものであると認められ、本件相続開始は平成13年12月15日であるところ同日は、相続開始日前3年以内に当たるから、相続税法19条(相続開始前3年以内に贈与があった場合の相続税額)の規定により、本件相続に係る原告らの相続税の課税価格に加算されるべきものということができる

名義預金を解約し、その解約金を、長男が管理している口座に入金したということは、その時点で父の支配が終わったということです。

つまり、その時に贈与が成立した、ということになります。

贈与税の納税義務が生じます。

想う相続税理士

名義預金にご注意を。