相続税専門税理士の富山です。
今回は、農業を営んでいる場合の小規模宅地等の特例の適用について、お話します。
相続税の申告における小規模宅地等の特例とは?
相続税の計算においては、一定の居住用または事業用の宅地等について、その評価額を80%または50%減額して申告することができる「小規模宅地等の特例」という制度があり、大きくは「(1)特定事業用宅地等」「(2)特定同族会社事業用宅地等」「(3)特定居住用宅地等」「(4)貸付事業用宅地等」の4つの適用パターンがあります。
建物または構築物の敷地の用に供されていることが条件
「事業用」と言っても、事業を行っている土地ならOKという訳ではなく、建物や構築物の敷地の用に供されている土地であることが要件となっています。
例えば、青空駐車場は、駐車場業という事業の用に供されている土地です。
しかし、土地の上に建物や構築物がないため、原則として小規模宅地等の特例は適用できません。
その駐車場が、アスファルト舗装されている駐車場であれば、構築物の敷地の用に供されている土地に該当するため、小規模宅地等の特例を適用できる可能性があります。
ただし、「建物」や「構築物」が上にあれば、小規模宅地等の特例が適用できるかというと、そんなことはありません。
農業を営んでいる場合には注意
租税特別措置法施行規則
第23条の2 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
法第69条の4第1項に規定する財務省令で定める建物又は構築物は、次に掲げる建物又は構築物以外の建物又は構築物とする。
一 温室その他の建物で、その敷地が耕作(農地法第43条第1項の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。次号において同じ。)の用に供されるもの
二 暗渠(きょ)その他の構築物で、その敷地が耕作の用又は耕作若しくは養畜のための採草若しくは家畜の放牧の用に供されるもの
温室の敷地の用に供されていて、その温室が建物に該当するとしても、耕作の用に供されている場合には、小規模宅地等の特例は適用できません。
なぜなら、その耕作の用に供されている土地は、「宅地」ではなく、「農地」であると考えられるからです。
逆に、耕作の用に供されていない、建物または構築物の敷地の用に供されている農業用の土地、例えば、農機具置き場や農作業を行うための建物の敷地であれば、小規模宅地等の特例を適用できる可能性があります。
国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
農機具置き場や農作業を行うための建物の敷地に係る小規模宅地等の特例
Q2
農業用耕うん機、トラクター、農機具等の収納や農作業を行うための建物の敷地の用に供されている土地は、小規模宅地等の特例の対象となる事業用宅地等に該当しますか。
なお、土地の地目は宅地となっています。
A2
農機具等の収納又は農作業を行うことを目的とした建物の敷地は、他の要件を満たす限り小規模宅地等の特例の対象となる事業用宅地等に該当します。
想う相続税理士