相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税の申告において、亡くなった方が所有していた土地が、小規模宅地等の特例の特定同族会社事業用宅地等に該当するための、その土地の上の建物の所有者の要件について、お話します。
建物所有者が亡くなった方の場合
土地所有者が亡くなった方、かつ、建物所有者も亡くなった方、というパターンで、その土地が同族会社の事業の用に供されていた、という場合には、亡くなった方が同族会社に建物を貸していた、ということになります。
この場合、建物の家賃が有償で(相当の対価であることが要件となります)、その他の要件を満たせば、特定同族会社事業用宅地等に該当します。
建物所有者が生計一親族の場合
土地所有者が亡くなった方、そして、建物所有者が亡くなった方の生計一親族、というパターンで、その土地が特定同族会社の事業の用に供されていた、という場合には、亡くなった方が生計一親族に土地を貸して、生計一親族がその借りた土地の上に建物を建てて、同族会社にその建物を貸していた、ということになります。
この場合、土地の地代が無償で、建物の家賃が有償で(相当の対価であることが要件となります)、その他の要件を満たせば、特定同族会社事業用宅地等に該当します。
建物所有者が生計別親族の場合
土地所有者が亡くなった方、そして、建物所有者が亡くなった方の生計別親族、というパターンで、その土地が特定同族会社の事業の用に供されていた、という場合には、亡くなった方が生計別親族に土地を貸して、生計別親族がその借りた土地の上に建物を建てて、同族会社にその建物を貸していた、ということになります。
この場合には、特定同族会社事業用宅地等に該当するパターンはありません。
建物所有者が同族会社の場合
土地所有者が亡くなった方、そして、建物所有者が同族会社、というパターンで、その土地が特定同族会社の事業の用に供されていた、という場合には、亡くなった方が同族会社にその土地を貸していた、ということになります。
この場合、土地の地代が有償で(相当の対価であることが要件となります)、その他の要件を満たせば、特定同族会社事業用宅地等に該当します。
建物所有者が第三者の場合
土地所有者が亡くなった方、そして、建物所有者が第三者、というパターンで、その土地が特定同族会社の事業の用に供されていた、という場合には、亡くなった方が第三者に土地を貸して、第三者がその借りた土地の上に建物を建てて、同族会社にその建物を貸していた、ということになります。
この場合には、特定同族会社事業用宅地等に該当するパターンはありません。
想う相続税理士
「役員取得要件」というものもあるのですが、これは、相続開始時点ではなく、相続税の申告期限時点で判定します。
租税特別措置法施行規則(一部抜粋加工)
第23条の2 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
5 法第69条の4第3項第3号に規定する財務省令で定める者は、同号に規定する申告期限において同号に規定する法人の法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除く。)である者とする。