【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

特定贈与者が相続時精算課税贈与をした年に死亡した場合の申告及び届出の注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続時精算課税により贈与をした方(特定贈与者)が、その年に死亡した場合における、申告及び届出上の注意点について、お話します。


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特定贈与者が贈与した年に死亡した場合の取扱いとは?

特定贈与者、つまり「相続時精算課税制度」の適用のある贈与を行った方が、その贈与をした年に亡くなった場合、贈与税の申告、相続税の申告、場合によっては相続時精算課税選択届出書の提出に注意が必要です。

相続税の申告については、その相続時精算課税贈与財産の金額のうち、基礎控除額110万円を控除した残額を、相続財産の金額に加算して、相続税を計算します。

これは、通常と同じです。

ただし、今まで相続時精算課税選択届出書を提出したことがなく、その亡くなった年の贈与から相続時精算課税を選択する「つもりだった」、その贈与税の申告と一緒に相続時精算課税選択届出書の提出もする「つもりだった」という場合、亡くなった時点では相続時精算課税選択届出書は提出されていません。

つまり、「死亡した時点では、その贈与は相続時精算課税による贈与であると確定していない」という点にご留意ください。

贈与税の申告は不要

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4307 贈与者が贈与をした年に死亡した場合の贈与税及び相続税の取扱い
相続時精算課税の適用を受けている者(相続時精算課税の適用を受けようとする者を含みます。)
(1) 死亡した年の相続時精算課税の適用分の贈与財産の贈与税の取扱い
相続税の課税の対象となることから贈与税の申告は不要です。

この場合、贈与税の申告は不要です。

しかし、だからといって気を抜いてはいけません。

上記でお話したとおり、相続時精算課税選択届出書を提出していない場合には、その提出をしなければなりません。

相続時精算課税選択届出書の提出期限と提出先の変更に注意!

国税庁HP・タックスアンサー(一部抜粋)
No.4302 贈与者が贈与した年の中途に死亡した場合の相続時精算課税の選択
贈与者が贈与をした年の中途に死亡した場合に、相続時精算課税の適用を受けるときは、贈与税の申告書を提出する必要はありませんが、「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。
この場合における「相続時精算課税選択届出書」の提出期限および提出先は通常の場合とは異なり、次のイまたはロのいずれか早い日までに、贈与者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長に提出します。
イ 贈与税の申告書の提出期限(通常は、贈与を受けた年の翌年の3月15日)
ロ 贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限(通常は、相続の開始の日の翌日から10か月を経過する日)
なお、上記ロの日がこの届出書の提出期限となる場合に、贈与者の死亡に係る相続税の申告書を提出するときには、相続税の申告書にこの届出書を添付しなければなりません。

通常は、「受贈者の納税地」の所轄税務署長に提出しますが、「贈与者の死亡に係る相続税の納税地」に変更となります。

また、本来の提出期限(通常3/15)よりも前に相続税の申告期限が到来する場合には、その申告期限が提出期限となりますが、その際には相続税の申告書に添付した同時提出が求められます。

(注1) 相続税の申告書を提出する必要がない場合であっても、相続時精算課税の適用を受けるためには、提出期限までにこの届出書を贈与者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。

これらの手続きを忘れた場合には、暦年課税贈与扱いとなります。

暦年課税贈与扱いとなると、次のようなことが起こります。

相続で財産を取得しない場合、110万円を超えた贈与の場合には、贈与税の申告が必要となる

相続で財産を取得した場合、生前贈与加算により贈与財産の金額全額が相続財産に加算される(基礎控除額110万円は適用できない)

想う相続税理士

受贈者が、相続時精算課税選択届出書を提出する前に亡くなった場合にも、特別な取扱いがあります。