相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続時精算課税で生前贈与を受けた方が相続放棄をした場合の注意点について、お話します。
相続放棄=「税金も申告もゼロ」とは限らない
相続放棄をすると、その人は最初から相続人ではなかったものとして扱われます。
そのため、「何ももらっていないのだから、相続税の申告は関係ない」と考えたくなります。
実際、相続財産もみなし相続財産(生命保険金など)も受け取っておらず、他に申告が必要となる要素がなければ、申告が不要なケースもあります。
想う相続税理士
ただし、ここに「相続時精算課税で受けた贈与財産」が絡むと、話が変わります。
相続時精算課税による贈与は、ザックリ言うと「最後は相続の時に(相続財産に合算して)精算する」制度です。
この「最後の精算」は、相続放棄をしていても逃れられません。
相続時精算課税は「相続の時に合算」が前提
相続時精算課税を選ぶと、特定の人(特定贈与者)から受けた贈与財産は、相続が起きた時に相続税の計算に合算します。
合算する金額は、原則として「贈与を受けた時点の価額」で考えます。
そして、既に納めた贈与税がある場合は、相続税から差し引いて精算する形になります。
ここで重要なのは、「相続や遺贈で、その特定贈与者から財産を実際に取得したかどうか」と「合算の要否」は別問題だということです。
相続時精算課税を使った贈与については、相続税の計算上、「相続・遺贈で取得したものとみなす」という整理が入ります。
相続税法(一部抜粋加工)
第21条の16
特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかつた相続時精算課税適用者については、当該特定贈与者から相続(一定のには、遺贈)により取得したものとみなして(以下省略)
その結果、相続放棄をしていても、相続時精算課税で受けた贈与を相続税の計算に入れた上で、相続税の申告要否を判定することになります。
(バラバラに申告することは可能ですが、一緒に申告するケースが多く)相続税はみんなで一緒に計算する感じです(バラバラに計算することはできません)。
この「全体の財産」には、「相続時精算課税による贈与財産」も含まれます。
「相続放棄したから自分は相続税申告とは完全に無関係」と早合点し、相続時精算課税による贈与があったことを隠していると、確実に修正申告となり(あなたが隠しても税務署は過去の申告データを持っています)、他の相続人等から責められることになりますので、ご注意を。
想う相続税理士秘書
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