相続税専門税理士の富山です。
今回は、「贈与税を払って相続税を下げる」ということについて、お話します。
想う相続税理士秘書
贈与税を払うと損をする?
税金(贈与税)を払って税金(相続税)対策をする、というと、ちょっと尻込みする方もいるかもしれません。
相続税は、相続が発生すると課税される税金です。
それに対して贈与税は、贈与を受けると課税される税金なのですが、贈与を受けなければ課税されません。
あえて税金対策のために、いつもやらない「贈与(受贈)」という行為+「申告・納税」という行為をする、というと、「ちょっと勇気がいるな」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、その勇気が相続税の節税につながります。
相続税は超過累進税率で計算します。
財産が多ければ多いほど、税率が高くなるのです。
逆に言えば、財産を減らせば減らすほど、税率が低くなるのです。
財産を減らすことにより課税対象が減った上に、かかる税率も低くなるのです。
ちょっとの節税で満足しちゃダメ
そのようなお話をすると、110万円の非課税枠内で贈与をする方がいらっしゃいます。
暦年課税贈与の場合、生前贈与加算の対象にならないように贈与する必要がありますが、110万円の贈与により相続開始時の財産が110万円減れば、確かに相続税は安くなります。
しかし、110万円では相続税を安くする効果は低い場合が多いのです。
まず、「財産」と「推定相続税」の金額を把握します。
次に、贈与の設計です。
受贈者(もらう人)を分散させ、毎年の贈与額を無理なく継続する水準を見極めます。
そして、実際に贈与した場合に、いくら贈与税がかかり、いくら相続税が安くなるのかのシミュレーションをするのです。
財産がメチャクチャ多い場合には、メチャクチャ贈与をしてもトクをします。
注意したい落とし穴
何点かご注意いただきたい点があります。
生前贈与加算で相続税対策がオジャンになる
上記でもちょっと触れましたが、生前贈与加算の対象になると、贈与をしても相続税の計算に持ち戻しされます。
簡単に言うと、贈与をしても、税金の計算上は贈与をしなかったのと同じになってしまうのです。
それを避けるためには、早目の贈与着手が重要です。
早目に着手すれば、その分、低税率で贈与できる金額も増えます。
とはいえ、相続はいつ発生するか分かりません。
計画通りにいかない場合もある、という点はご留意いただく必要があります。
贈与を成立させる
お金を贈与する場合、名義預金にならないようにしましょう。
お金が動けば贈与になる、という訳ではありません。
お金が動いても、動いた先の預金の名義を借りているだけ、とみなされると、名義預金として相続税の課税対象になります。
贈与が成立していないと、所有権は移転しません(元の人のものです)。
想う相続税理士
各課税方法の特徴・仕組みを比較しながら違いをしっかり押さえ、有効な相続税対策を進めましょう。