【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

同族会社にお金を貸した場合の相続税リスクに注意。贈与・債務免除・DESで対策

相続税専門税理士の富山です。

今回は、親族等が経営している同族会社に対して「貸付金」を有している場合の注意点や対策について、お話します。

会社の決算書上は「(役員)借入金」になっています。

想う相続税理士秘書


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応

または はこちらから


同族会社への貸付金が「相続の落とし穴」になる理由

同族会社に対する個人の貸付金は、会社の業績が悪化していて、返ってくる見込みが薄くても、相続税では原則として「額面」で相続財産として評価されます。

相続税が課税されるのです。

その貸付金を相続しても会社から回収できないとしたら、相続した方は納税資金に困ることになります。

したがって、生前のうちに「貸付金に対してどう対処するか」を具体的に検討し、実行に移すことが極めて重要となります。

生前に検討できる代表的な選択肢(贈与・債務免除)

代表的な対策は、次の2つです。

貸付金の贈与

貸付金という「債権」を子や孫に贈与する方法です。

ポイントは、贈与税の対象になること、そして贈与を受けた人が会社に対する債権者になるため、今後の回収や社内の力学に影響が出ることです。

後継者に贈与する場合には、株式とのバランス、後継者以外の相続人への配慮など、親族内の合意形成が不可欠です。

貸付金の債務免除

貸付金を「帳消し」にしてあげる方法です。

会社側から見ると「債務免除益」(返済しなくてよくなった、という「トク=利益」)が発生し、法人税がかかる可能性があります。

ただし、会社が赤字だったり、欠損金が十分にある場合であれば、当期の課税が生じないこともあります。

一方、個人側は貸付金という資産がなくなるため、将来の相続財産を圧縮できます。

想う相続税理士

債務免除により、他の株主に贈与税が課税される場合がありますので、ご注意を。

DES・擬似DESで「貸付金→資本金等の額」へ組み替える場合の注意点

DES(デット・エクイティ・スワップ)は、貸付金(会社から見れば借入金)を資本金等に振り替える手法です。

会社の純資産が増え、財務体質の改善につながります。

ただし、会社が債務超過の場合、株式の時価(資本の価値)が低いため、形式上DESをしても「資本金等の増加」と認められず、会社側で「債務免除益」として課税されるリスクがあります。

この点を避ける設計として用いられることがあるのが「擬似DES」(現金を払い込んで増資し、その現金で会社が借入金を返済する流れ)です。

擬似DESであれば、通常は払い込んだ金額が「資本金等の額」と認められます。

DESは現物出資として、検査役の調査が必要になる場合がありますので、ご注意を(金額等によっては不要となります)。

想う相続税理士秘書

想う相続税理士

対策が間に合わなかった場合、相続人の中に配偶者がいれば、その配偶者にいったん相続してもらって(配偶者の税額軽減で課税ダメージを最小限にし)、次の相続(配偶者が亡くなった時の二次相続)が発生するまでの間に対策を実行する場合もあります。
法的にきちんと有効になるよう、手続きを万全に進めましょう。

想う相続税理士秘書

想う相続税理士

利害関係者等への事前説明を検討すべき場合もあります。