【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続人が未成年者である場合において特別代理人の選任が必要ない場合

相続税専門税理士の富山です。

今回は、遺産分割協議における特別代理人の選任について、お話します。


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相続人の中に未成年者がいたらどうなる?

未成年者は相続税の申告書に署名できない?特別代理人が署名しなければならない?

上記の記事でもお話したとおり、

  1. 遺産分割協議は「法律行為」である
  2. 未成年者は法律行為をすることができない
  3. したがって、未成年者である相続人の方は遺産分割協議に参加できない
ということになります。

「未成年者は遺産分割協議に参加できない」と言っても、参加してもらわないと困ります。

相続人全員の合意がないと、遺産分割協議は成立しないからです。

そこで、「代理人」が必要となります。

未成年者の代理人は親権者(親御さん)?

民法(一部抜粋)
(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。

未成年者の方に親権者がいれば、その親権者が法定代理人です。

法務省HP(一部抜粋)
父母の婚姻中は父母の双方が親権者とされており,父母が共同して親権を行使することとされています。

民法(一部抜粋)
(財産の管理及び代表)
第八百二十四条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。

しかし、親御さんは法定代理人になれない場合があります。

例えば、相続人が「妻・長男(未成年者)」の2人だとします。

妻が長男の法定代理人になるということは、遺産分割協議に参加するのは「妻・妻」、つまり、妻だけになり、妻が財産を独り占めしようとしたら、それが可能となってしまいます。

そうすると、長男の利益が損なわれてしまいます。

このように、遺産分割協議が「利益相反行為」(当事者の一方に利益をもたらし、他方に不利益を及ぼす行為)に該当する場合には、「特別代理人」を家庭裁判所に選任してもらい、その方が遺産分割協議に参加することになります。

親権者が法定代理人になっても利益相反にならない場合

国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋加工)
共同相続人に該当しない親権者が未成年者である子に代理して遺産分割協議書を作成する場合
【照会要旨】
被相続人甲は、妻乙との間に子A(成年者)・子B(成年者)がありましたが、妻以外の女性丙との間にも子C(成年者)・子D(未成年者)あり、生前に認知していました。
甲の死亡に係る相続に関し、相続人である妻乙と子供4人で遺産を協議分割し、その分割に基づいて相続税の申告をすることになりましたが、相続税の申告書に添付する遺産分割協議書には、未成年者である子Dに代理して親権者である丙が署名、押印すれば、家庭裁判所で特別代理人の選出を受けなくてもよいと考えますがどうでしょうか。なお、丙は包括受遺者ではありません。
【回答要旨】
丙の親権に服する子が1人の場合には、照会意見のとおりで差し支えありません。しかし、同じ者の親権に服する未成年者が2人以上いる場合には、そのうちの1人について親権者が法定代理人となり、他の未成年者については、それぞれ特別代理人の選任を必要とします。
(注) 未成年者の親権者が共同相続人であり、その子とともに遺産分割の協議に参加する場合には、民法第826条(利益相反行為)の規定により特別代理人の選任を要しますが、親権者が共同相続人としてその遺産分割に参加しない場合には、同条の適用はありませんので、法定代理人である親権者の同意のみで足ります。ただし、子が2人以上いる場合において、その1人の子と他の子との利益が相反する行為については、子のうちの1人を除き、特別代理人の選任を要します(同条第2項)。

上記の場合、女性丙さんは遺産分割協議の当事者ではないため、法定代理人(親権者)として遺産分割協議に参加することができます。

想う相続税理士

相続税の申告の際には、「未成年者控除」の適用をお忘れなく。