【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

生前贈与加算の対象になれば失敗した贈与の贈与税も取り返せる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税と贈与税の関係について、お話します。


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贈与税は相続税よりも高い

国税庁HP(一部抜粋)
相続税が課税されない部分を補完する必要から、贈与税は相続税よりも累進構造が重く、生前贈与抑制的な高い税率となっている

「相続税は贈与税の補完税」と言われています。

ザックリ言うと、相続税よりも贈与税の方が税負担が高く設計されているため、財産を贈与で渡すと、相続で渡すのに比べて、税金が余計にかかってしまうのです。

贈与税の方が安い場合もある

相続税も贈与税も一定税率ではないため、贈与する財産の金額によっては、財産を贈与で渡す方が、相続で渡すのに比べて、税負担が低くなる場合があります。

つまり、生前贈与により、相続税対策ができる、ということです。

だからこそ、財産の多い方は、相続税や贈与税の実効税率を踏まえつつ、暦年贈与を活用して毎年コツコツ贈与を進めていくのです。

生前贈与加算で相続税が課税される

相続で財産を取得した方が、相続開始前3年以内(令和5年度税制改正により順次「7年」に延長されます)に、亡くなった方から生前に暦年課税贈与により取得した財産は、相続税の課税対象に加算されます(「生前贈与加算」と言います)。

相続税対策のため、低い税率(例:5%)で贈与をしても、生前贈与加算により、高い税率(例:15%)の相続税が課税されます(税負担の差に着目した相続税対策はムダになります)。

高い税負担で暦年課税贈与をしてしまったら?

相続税の税負担(例:15%)よりも低い税負担(例:5%)で贈与をしたつもりが、財産の評価を間違ってしまい、高い税負担(例:40%)で贈与をしてしまったとします。

この場合、(3年以内に相続が発生することにより)生前贈与加算の対象になれば、相続税の課税対象になり、相続税の税負担(例:15%)で再計算されるのでしょうか?

これは、ケースによります。

5,000万円の暦年課税贈与をして、2,000万円の贈与税を納付したとします。

生前贈与加算により、その5,000万円の贈与財産を加算して計算した相続税が3,000万円であれば、その3,000万円から2,000万円を控除して(「贈与税額控除」と言います)、1,000万円の相続税を納付します。

5,000万円の贈与財産とは別に、相続で多額の財産を相続したのに、1,000万円の相続税で済んでいます。

このような場合には、「結果的に」相続税の税率で完全に再計算されています。

贈与税額控除が使い切れなかったら?

生前贈与加算により、その5,000万円の贈与財産を加算して計算した相続税が仮に0円だったらどうでしょうか?

その0円から2,000万円を控除しようにも、控除できません。

このような場合には、2,000万円の贈与税は、「払いっぱなし」になります(贈与税の高い税負担で終了)。

贈与税額控除は、「相続税と贈与税の二重課税の排除(防止)」を目的としているため、相続税がかからなければ、二重課税になっていないので、機能しないのです。

配偶者が相続で財産を取得した場合には、「配偶者の税額軽減」が適用できるため、相続税がゼロになることが普通にあります(1億6,000万円まで非課税だからです)。

そうすると、こういうことが起こります。

配偶者に該当せず、相続税が発生した場合でも、その発生した相続税が2,000万円の贈与税よりも少なければ、再計算されない部分が生じてしまう(贈与税の高い税負担で終了してしまう部分が生じる)、ということになります。

想う相続税理士

相続時精算課税贈与の場合には、0円から2,000万円を差し引くことで、2,000万円が還付されます(上記と取扱いが異なります)ので、ご注意を。