亡くなった方の退職に伴い支払われる退職金に関連する税務上の取扱い
退職金を生前退職金と死亡退職金に分けて考える
生前退職金は、通常、その退職した方の(生前の)所得税の課税対象になるが、みなし相続財産として相続税の課税対象になる場合がある
相続税法基本通達(一部抜粋)
3-31 被相続人の死亡後支給額が確定した退職手当金等
被相続人の生前退職による退職手当金等であっても、その支給されるべき額が、被相続人の死亡前に確定しなかったもので、被相続人の死亡後3年以内に確定したものについては、法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等に該当するのであるから留意する。
死亡退職金は、通常、みなし相続財産として相続税の課税対象になるが、ご遺族の一時所得になる場合がある
所得税基本通達(一部抜粋加工)
34-2 遺族が受ける給与等、公的年金等及び退職手当等
死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等で、その死亡後に支給期の到来するもののうち9-17(「その死亡後に支給期の到来するもののうち相続税法の規定により相続税の課税価格計算の基礎に算入されるもの」)により課税しないものとされるもの以外のものに係る所得は、その支払を受ける遺族の一時所得に該当するものとする。
相続税法(一部抜粋)
第3条 相続又は遺贈により取得したものとみなす場合
次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。
二 被相続人の死亡により相続人その他の者が当該被相続人に支給されるべきであつた退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(政令で定める給付を含む。)で被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合においては、当該給与の支給を受けた者について、当該給与
つまり、死亡退職金の支給が死亡後3年を経過した後に確定した場合には一時所得となる
相続税の申告は「その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から10月以内」にしなければならないのだが、10ヶ月どころか3年以内に支給が確定したら相続税の課税対象になってしまう
期限内申告をした後に、死亡退職金の支給が確定し、それが相続税の課税対象となる場合、当初の申告額が少なかった、ということになり、ペナルティの税金が課税されそうだが、このようなケースでは(決まっていなければ申告できないのは当たり前なので)延滞税・過少申告加算税を課税しないという取扱いがある
相続税法(一部抜粋加工)
第51条 延滞税の特則
2 次の各号に掲げる相続税額については、当該各号に定める期間は、国税通則法第60条第2項(延滞税)の規定による延滞税の計算の基礎となる期間に算入しない。
一 相続又は遺贈により財産を取得した者が、次に掲げる事由による期限後申告書又は修正申告書を提出したことにより納付すべき相続税額 第33条の規定による納期限の翌日からこれらの申告書の提出があつた日までの期間
ロ 期限内申告書の提出期限後に支給が確定した第3条第1項第2号に掲げる給与(3年以内支給確定死亡退職金)の支給を受けたこと。
国税庁HP(一部抜粋加工)
相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)
第1 過少申告加算税の取扱い
(通則法第65条第5項第1号の正当な理由があると認められる事実)
1 通則法第65条の規定の適用に当たり、例えば、納税者の責めに帰すべき事由のない次のような事実は、同条第5項第1号に規定する正当な理由があると認められる事実として取り扱う。
(3) 相続税の申告書の提出期限後において、次に掲げる事由が生じたこと。
イ 相続税法第51条第2項各号に掲げる事由