【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

限度額を超えても得?住宅取得等資金の非課税贈与のメリット

相続税専門税理士の富山です。

今回は、住宅取得等資金の非課税贈与特例のメリットについて、お話します。


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住宅取得等資金の非課税贈与は「使えた分は必ず有利」

贈与税は「相続税の補完税」と言われます。

相続前に生前贈与で財産を移しても、その生前贈与に贈与税を課税することで、相続税の課税逃れにならないように設計されているからです。

それでも、相続税対策の王道は生前贈与です。

ポイントは、相続税の実効税率より低い贈与税の税率で計画的に贈与することです。

一方で、住宅取得等資金の非課税贈与は、非課税限度額の範囲内であれば、贈与税がかかりません。

したがって、非課税枠を使えた分は必ず有利になります。

非課税枠は、令和6年1月1日から令和8年12月31日までの贈与について、省エネ等住宅なら1,000万円、それ以外の住宅は500万円です。

また重要な論点として、この非課税特例で贈与税の課税価格に算入されなかった金額は、相続開始前7年(経過措置あり)の「生前贈与加算」の対象になりません(相続税の申告において持ち戻しされません)。

教育資金や結婚・子育て資金は「その都度の援助」で対応可能

住宅取得等資金だけでなく、教育資金や結婚・子育て資金の贈与についても、非課税の特例があります。

しかし、教育費や結婚・子育て資金は、扶養義務者(父母や祖父母は相続税法上の扶養義務者に該当します)からの「その都度」「必要な分」の贈与であれば、贈与税は非課税です。

相続税法(一部抜粋)
第21条の3 贈与税の非課税財産
次に掲げる財産の価額は、贈与税の課税価格に算入しない。
二 扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの

つまり、「その都度」「必要な分」の贈与をするのであれば、特例を適用しなくても対応できるのです(まとめて渡すメリットもあります)。

これに対して、住宅の新築等の費用は上記の「生活費又は教育費」に該当しないため、「その都度」「必要な分」の贈与だとしても、非課税扱いにはなりません。

住宅取得等資金の非課税贈与特例を使う意義は大きいのです。

非課税限度額を超える部分にもメリットが生じる

2,500万円の省エネ等住宅を、資金の全額を暦年課税の贈与で賄って新築等する場合、非課税限度額1,000万円を超える部分には通常どおり贈与税が課税されます。

ただし、贈与税は超過累進税率であるため、非課税枠の活用により課税価格が1,000万円減少すると適用税率帯が下がり、結果として実効税率も低下します。

したがって、全体に贈与税が課税される場合と比べ、税負担は軽くなります。

想う相続税理士

住宅を新築する場合、住宅の規模や装備、建築会社の都合等により、贈与税の申告期限において棟上げの状態まで進まない(非課税の特例が使えない)ケースが出てきます。

このような場合でも、相続税の想定実効税率と比較し、「相続時精算課税」により課税を先送りした方がいいのか(後で相続税の課税対象となります)、「暦年課税」で課税された方が相続税の節税につながるのか、を慌てずに検討しましょう。