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取引相場のない株式の原則的評価方式における「純資産価額×80%」の注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、取引相場のない株式の原則的評価方式における純資産価額について、お話します。


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会社の大きさによって評価方法が変わる

財産評価基本通達(一部抜粋)
178 取引相場のない株式の評価上の区分
取引相場のない株式の価額は、評価しようとするその株式の発行会社(以下「評価会社」という。)が次の表の大会社、中会社又は小会社のいずれに該当するかに応じて、それぞれ次項の定めによって評価する。

「総資産価額」「従業員数」「取引金額」により、「大会社」「中会社」「小会社」、さらに「中会社」「中会社の『大』」「中会社の『中』」「中会社の『小』」という区分にカテゴライズされます。

大会社の評価方法

179 取引相場のない株式の評価の原則
前項により区分された大会社、中会社及び小会社の株式の価額は、それぞれ次による。
(1) 大会社の株式の価額は、類似業種比準価額によって評価する。ただし、納税義務者の選択により、1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価することができる。

大会社は、原則として
類似業種比準価額
により評価しますが、
純資産価額
を選択することができます。

中会社の評価方法

(2) 中会社の株式の価額は、次の算式により計算した金額によって評価する。ただし、納税義務者の選択により、算式中の類似業種比準価額を1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって計算することができる。
類似業種比準価額×L+1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)×(1-L)
上の算式中の「L」は、評価会社の前項に定める総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)及び従業員数又は直前期末以前1年間における取引金額に応じて、それぞれ次に定める割合のうちいずれか大きい方の割合とする。

中会社は、原則として
類似業種比準価額×L+純資産価額×(1-L)
により評価しますが、
この算式の中の類似業種比準価額の代わりに純資産価額
を選択することができます。

そうすると、
純資産価額×L+純資産価額×(1-L)
となり、
純資産価額
になると思われるかもしれませんが、そうならない場合があります。

185 純資産価額
ただし、179《取引相場のない株式の評価の原則》の(2)の算式及び(3)の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)については、株式の取得者とその同族関係者(188《同族株主以外の株主等が取得した株式》の(1)に定める同族関係者をいう。)の有する議決権の合計数が評価会社の議決権総数の50%以下である場合においては、上記により計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)に100分の80を乗じて計算した金額とする。

上記のとおり、その属する同族株主グループの議決権割合が50%以下の場合には、純資産価額を八掛け(×80%)していい、という規定があるのですが、これは、「元々『純資産価額』だった部分」にしか適用されません。

分かりやすいように、
純資産価額A×L+純資産価額B×(1-L)
とA・Bを付けてお話すると、純資産価額B(最初から純資産価額)の方には適用できますが、純資産価額A(類似業種比準価額の代わりに選択した純資産価額)の方には適用できません。

小会社の評価方法

(3) 小会社の株式の価額は、1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する。
ただし、納税義務者の選択により、Lを0.50として(2)の算式により計算した金額によって評価することができる。

小会社は、原則として
純資産価額
により評価しますが、
類似業種比準価額×0.50+純資産価額×(1-0.50)
を選択することができます。

小会社については、議決権割合が50%以下の場合には、原則でも選択でも、純資産価額に対する上記の八掛けが適用可能です。

大会社の純資産価額については、八掛けは適用不可ですので、ご注意を。

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