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【税理士が解説】固定資産税評価額がない保安林はどう評価する?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、固定資産税評価額がない山林の倍率方式による評価について、お話します。

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想う相続税理士秘書

保安林等及びその立木の相続税申告における評価方法 公益的機能別施業森林区域内の山林及び立木の相続税申告における評価方法

固定資産評価証明書を見たら評価額がゼロ!

相続税の申告における土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。

路線価方式は、国税庁から発表されている路線価図を見て評価します。

その評価対象地が面している路線価がいくらかを確認して、基本的には「その路線価×評価対象地の面積」をベースにその土地を評価します。

倍率方式は、その土地の固定資産税評価額に「倍率」を乗じて計算します。

この倍率は、同じく国税庁から発表されている評価倍率表を見れば分かります。

この倍率方式で評価する際、その土地の固定資産税評価額を確認しようとして固定資産評価証明書を見た場合に、評価額がゼロになっていたとしたら、どうすればいいのでしょうか?

保安林は評価額がゼロだから相続税も非課税?

評価しようとする山林が森林法第25条の規定により保安林として指定されている場合には、固定資産税評価額は付されないことになっています。

この場合には、「ゼロ×倍率=ゼロ(非課税)」と計算するのではなく、その保安林の近くにある、保安林ではない(固定資産税評価額が付されている)山林の金額をベースに計算します。

具体的には、市区町村役場の税務課等に確認して、近傍山林の1㎡当たりの評価額を教えてもらい、それに評価対象山林の面積を掛けます。

この掛けた金額が、倍率方式で計算する場合の「固定資産税評価額×倍率」「固定資産税評価額」の部分になります。

保安林とその立木は安く評価できる!

保安林は、水源の養成、土砂の崩壊その他の災害への備え、生活環境の保全・形成等といった、公益の目的を達成するため、農林水産大臣又は都道府県知事によって指定される森林です。

そのため、立木の伐採制限があります。

保安林としての「土地」に加え、そこに生えている「立木」も相続税の課税対象なのですが、この「立木」を評価する際には、その伐採制限を加味して、安く評価(伐採関係の区分に応じた「控除割合」を控除)できることになっています。

保安林としての土地を評価する場合にも、この「控除割合」を控除して評価することができます。

想う相続税理士

立木の評価も忘れずに!

伐採関係の区分は、「一部皆伐」「択伐」「単木選伐」「禁伐」の4種類です。

評価の際には、このどれに該当するかを確認する必要があります。

都道府県の森林事務所などで教えてもらうことができます。