相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続税申告の場面で「何を確認して、何を検討しておくと事故が減るのか?」について、国税庁HP掲載のチェックシートのチェック項目(抜粋)を引用しながら、お話します。
相続税の納税地はどこ?
被相続人の死亡時の住所地を納税地としていますか。
亡くなった方が「どこに住んでいたのか」は、極めて重要です。
なぜなら、相続税の申告書をどこの税務署に提出するかに直結するからです。
ここで注意したいのは、住民票に記載されている場所が、必ずしも「住所地(生活の本拠)」と一致するとは限らない、という点です。
さらに、住所地の判定は、小規模宅地等の特例の適用可否にも影響します。
自宅はあるものの、要介護状態のためやむを得ず老人ホーム等に入所していた、というケースの場合、そこが生活の本拠となっていたのであれば、老人ホーム等の所在地が住所地と判断されることがあります。
この場合、一定の要件を満たせば、実際には住んでいなかった自宅の敷地について、特定居住用宅地等として、小規模宅地等の特例を適用できる可能性があります。
その場合には、生活の本拠は老人ホーム等にあると整理され、申告上の住所地も老人ホーム等の所在地として取り扱うことになるのが一般的です。
実務では、老人ホーム等に入所したことが分かる資料として、入所契約書の写しなどを添付書類として提出する場合もあります。
「法定相続人」に該当するのは誰?
法定相続人に誤りはありませんか。
相続税は、各人がそれぞれ自分が取得した財産だけを見て計算する訳ではありません。
まず、遺産全体に対する相続税の総額を計算し、その上で、各人の取得割合に応じてそれを按分して税額を算出します。
この「遺産全体に対する相続税」を計算する際には、遺産に係る基礎控除額を差し引いた残額を、各法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定し、その金額に税率を適用して合計する、というプロセスを踏みます。
ですから、法定相続人の把握が誤っていると、相続税を正しく算出できません。
さらに、遺産に係る基礎控除額(相続税の非課税枠)や、生命保険金・死亡退職金の非課税限度額(非課税枠)を計算する場面でも、法定相続人の数が基礎になります。
つまり、法定相続人の数を間違えると、非課税枠もズレてしまい、相続税が正しく計算できなくなります。
ご家族としては「相続人は分かっている」と思われるかもしれません。
しかし、戸籍謄本を収集して確認してみないと、実務上は安心できません。
たとえば、被相続人に過去の婚姻歴があり、その相手との間にお子さんがいる場合、そのお子さんも法定相続人になります。
遺産分割協議を行う場合は、相続人全員の同意が必要です。
そのため、相続人の確定を曖昧にしたまま話を進めると、後から相続人が判明して協議がやり直しになったり、手続きが大幅に遅れたりすることがあります。
想う相続税理士
