【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続人が自分に対する貸付金を相続したらどうなる?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続人の方が亡くなった方からお金を借りていた場合の相続税申告について、お話します。


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親族間のお金の貸し借りも相続税の課税対象

お子さんにお金が必要な場合、親御さんがお金を出すこともあるでしょう。

金額が大きい場合、暦年贈与だと贈与税が高くなってしまうため、親御さんがお子さんに「あげる」のではなく、「貸す」という場合もあるでしょう。

この場合、金銭消費貸借契約書を作成したり、キチンと返済を続けることにより、実態として贈与にならないように気を付ける、ということが必要ですが、返済の途中で親御さんが亡くなった場合、そのお金の貸し借りはどうなるでしょうか?

親御さんから見ると、お子さんにお金を貸しているワケですから、親御さんは「貸付金」という債権を有していることになります。

つまり、その「貸付金」は相続財産として、相続税の課税対象になります。

債権者が亡くなっても債権は消えない

債権に係る債権者(上記の例では親御さん)と債務者(上記の例ではお子さん)がいらっしゃって、債権者が亡くなったら債権も亡くなるかというと、そんなことはありません。

その債権(上記の例では貸付金)は、債権者の相続人に相続され、その債権を相続した相続人の方が新たに債権者となります。

上記の「お子さん」が長男だとすると、その貸付金を長女が相続した場合、長男は今まで親御さんに返済してきたのと同じように、これからは長女にお金を返済していかなければなりません。

債務者が債権を相続したらどうなる?

上記の相続財産としての貸付金を、その債務者である長男が相続したらどうなるでしょうか?

新たな債権者は「長男=自分」ですから、長男は借入金の残高がゼロになるまで、自分の口座にお金を振り込まなければならないのでしょうか?

民法(一部抜粋加工)
第五款 混同
第五百二十条 債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。

「債権者=長男」である貸付金という債権を、「債務者=長男」が相続すると、「債権者=債務者=長男」となりますので、その債権は消滅します。

つまり、長男は借入金を返済しなくてもよくなるのです(自分の口座に振り込んだりする必要はありません)。

返済しなくてよくなっても相続税の課税対象

上記の「混同」により、債務が消滅したとしても、長男が「貸付金という債権を相続」したことに間違いはありませんので、長男は、その貸付金の残高に対して、相続税を納める義務があります。

「返済しなくてもよくなった」ということは、その分だけお金を得ているのと同じ=その債権残高相当額のお金をもらったのと同じ、とも考えられますから、そのトクした分に相続税がかかるのは当然ですよね。

想う相続税理士秘書

想う相続税理士

上記で「暦年贈与だと贈与税が高くなってしまう」とお話しましたが、このような場合、「相続時精算課税」による贈与を選択すると、将来の相続税で精算されるため、相続税の実効税率(一般的には暦年課税の贈与税の実効税率よりは低い)での課税となります。