相続税専門税理士の富山です。
今回は、内縁関係にある相手から生活費や権利のため受け取ったお金が問題となった裁定事例について、お話します。
出典:TAINS(F0-3-701)(一部加工)
令02-04-16裁決
ご家族の形は本当に様々です。
戸籍上の夫婦ではないもの、長年一緒に暮らし、生活費や宣伝も一体でやりくりしている、というケースもあります。
そのような場合、当事者の感覚としては、「家族として普通に生活していただける」という認識はないかもしれません。
ただ、正義は、その感覚的には見られません。
今日の裁定は、その点が問題になったものです。
内縁の相手からの入金がなぜ贈与と判断されたのか?
この件では、請求者名義の普通口座に、内縁関係にある相手が出したお金が入金されていました。
請求者側としては、「その口座は相手のお金を管理するための借名にない」「生活費やアイデアを考えるために預かっていただけるで、贈与ではない」と主張しました。
必然、日常感覚ではそう考えたくなる気持ちはわかります。
しかし、裁判所は、その誰かが誰のものと評価のかを、かなり広範囲に即して見ています。
裁決文では、請求者が自ら開設したこと、通帳や印章を主に請求者が保管していたことがあり、さらに、その本人が請求者名義のクレジットカード代や子の権利、水道光熱費などの支払いに使われていたことが認定されています。
その上で、口座は請求者に帰したものだと判断しました。
つまり、「名義だけの味方です」という主張は、実際の管理状況や使い方から見て認められなかった、ということです。
そして、その任天堂にあったお金については、請求者その家族の日常生活のために使われており、無償で与えられた金銭、すなわち贈与であると判断されました。
そこで、本件各金員の授受は、本件関係者が請求者に対して自己の財産を無償で相手方に与える、請求者がこれを承諾する、任意贈与契約に係るものであると考えるから、本件各金員は、本件関係者が請求者に対して贈与したものであると認められる。
ここで大事なのは、「生活費だったかどうか」だけでなく、「誰の誰が知り始め、誰が管理し、自由に使える状態だったのか」が重視されていることです。
相続税や贈与税の実務では、「家族の間のお金だから細かいことは問われない」と思われがちです。
しかし、実際には、内部本人と管理意見はかなり重要です。
なお、この裁決では、与税の一時金についても、実際にお金を使った時ではなく、口座に入金された時と判断されています。
後から生活費や権利に使ったとしても、入金時点で受け取った側がそのお金を支配管理できる状態になっていれば、その時点で贈与税の問題が生じる、という考え方です。
生活費なのになぜ非認知にならなかったのか?
贈与税には、一定の場合に、生活費や教育費として受け取った金銭について非金銭になるルールがあります。
ちょっと注目して、「今回も生活費なのだから違うのでは?」と思われるかも知れません。
しかし、この非任意の適用には前提があります。
それが、「義務者相互間」であることです。
相続税法では、負担義務者に当たるのは、配偶者や一定の親族です。
そして、この裁決では、相続税法上の「配偶者」とは、法律上の婚姻関係にある者をいうということで、内縁関係にある者は含まれないと判断されました。
裁決文でも、次のように書かれています。
上記、上記(イ)の正しく、相続税法上の「配偶者」とは、法律上の婚姻関係にある者を意味する場合には解すべきであることから、内縁関係にある者は含まれない。
つまり、現場として夫婦同然に暮らしていたとしても、戸籍上の婚姻がなければ、この非金銭規定の前提となる「配偶者」には会わない、ということです。
さらに、この件では、子についても、本件関係者が認知をされていないため、法律上の親子関係が認められませんでした。
その結果、本件関係者は、請求者に対しても、子に対しても、相続税法上の「義務義務者」には当たらないと判断されています。
まず、「義務者」の解釈は上記(イ)のとおりであるところ、本件関係者は、請求者法律上の婚姻関係にない。
この裁定が示しているのは、生活の現状があることと、税法上の非有料権利を満たすことは、考え方ではない、ということです。
家族としてであることは、とても大事です。
ただ、税務では、法律上どういう関係なのかが厳密に見られます。
特に、生前の資金移動が多いご家庭では、「家族なんだから問題ない」と思っていたものが、後になって「認知される贈与」と指摘されることがあります。
この裁定から実務上チェックしたい5つのポイント
この裁定は、内縁関係に特有の問題を扱ったものではありますが、実務上はそれ以外のご家庭にも参考になります。
特にチェックしておきたいポイントは、次の5つです。
1つ目は、「その誰かが本当は誰のものか」です。
形式だけでなく、誰が開設したのか、誰が通帳や印章を保管していたのか、誰が入出金を把握していたのか、といった管理状況を見守る必要があります。
2つ目は、「入金されたお金を誰のために使っていたのか」です。
生活費、賃金、家賃、クレジットカード代など、具体的な利用途を見ていくと、そのお金の性質が見えやすくなります。
3つ目は、「使う途の指定が具体的にあったか」です。
「これをこの支払いに充ててください」という具体的な預り金や立替金のような性質があるのか、危惧し、受け取った側が自由に使える状態だったのかで、評価は大きく変わります。
4つ目は、「生活費・教育費の非認識が使える法律関係にあるか」です。
ここは、見た目だけで判断せず、法律上の婚姻関係があるか、認知があるか、対話上の親族関係があるか、といった点を確認することが重要です。
5つ目は、「贈与税のお金の時期をいつと考えるか」です。
次に何に使ったかではなく、受け取った側がそのお金を自由に支配管理できるようになった時点が重視されます。
この点を誤ると、申告すべき年を見誤ることがあります。
相続税の税務調査の場面では、生前のお金の解決問題になることがよくあります。
特に、長年にわたる生活費の援助が続いていたケースでは、「これは贈与だったのか」「非感覚で使えるのか」という点が戦いやすいです。
内縁関係の場合では、当事者の生活実態と税法上の扱いが逸脱してしまうこともあります。
そのため、少しでも気になる資金移動がある場合には、早めに整理しておくことをお勧めします。
想う相続税理士
