【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

債務免除益が計上されてもいいからDESを実行する場合について考える

相続税専門税理士の富山です。

同族会社にお金を貸した場合の相続税リスクに注意。贈与・債務免除・DESで対策

上記の記事で、

DES(デット・エクイティ・スワップ)は、貸付金(会社から見れば借入金)を資本金等に振り替える手法です。

会社の純資産が増え、財務体質の改善につながります。

ただし、会社が債務超過の場合、株式の時価(資本の価値)が低いため、形式上DESをしても「資本金等の増加」と認められず、会社側で「債務免除益」として課税されるリスクがあります。

とお話しました。

「債務免除益」として課税される部分があってもいいからDESを実行する、というケースについて、考えてみたいと思います。


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債権の時価はいくら?

「会社に対する債権を資本に振り替える(DESする)」場合、その債権の時価はいくらなのか?という問題が生じます(税務は時価取引が原則です)。

DESする会社は、だいたい財務がよくないので、債権の額面をそのまま時価であるとは言えない場合があります。

回収可能性が低い(つまり、価値が低い)から株式に振り替える訳ですから。

とはいえ、その「債権の時価」を直接計算するのは難しいですよね。

手放す債権ではなく受け取る株式を評価する

そこで、代わりに受け取るべき株式の価額に着目します。

DESでは、債権と引き換えに株式を受け取るので、ザックリ言うと「受け取る株式の時価=債権の時価(≒処分価額)」と考えます。

そうすると、株式の時価をどう決めるかが重要になります。

会社の貸借対照表ベースの金額を参考にする

非上場株式は、流動性が極めて低いですので、売買実例価額を参考にする、というような、通常の時価を想定した計算は難しいでしょう。

そこで、現実的には、下記の「税務上の価額」を参考にすることになるものと思われます。

所得税基本通達(一部抜粋加工)
23~35共-9 令第84条第3項本文の株式の価額
株式の価額は、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次による。
(4) (1)から(3)までに掲げる場合 以外の場合次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める価額とする。
ニ イからハまでに該当しないもの 権利行使日等又は権利行使日等に最も近い日におけるその株式の発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額等を参酌して通常取引されると認められる価額
(注)1 上記ニの価額について、次によることを条件に、昭和39年4月25日付直資56・直審(資)17「財産評価基本通達」(法令解釈通達)(以下「財産評価基本通達」という。)の178から189-7まで《取引相場のない株式の評価》の例により算定している場合には、著しく不適当と認められるときを除き、その算定した価額として差し支えない。
(1) 当該株式の価額につき財産評価基本通達179の例により算定する場合(同通達189-3の(1)において同通達179に準じて算定する場合を含む。)において、当該株式を取得した者が発行法人にとって同通達188の(2)に定める「中心的な同族株主」に該当するときは、発行法人は常に同通達178に定める「小会社」に該当するものとしてその例によること。
(2) その株式の発行法人が土地(土地の上に存する権利を含む。)又は金融商品取引所に上場されている有価証券を有しているときは、財産評価基本通達185に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、これらの資産については、権利行使日等における価額によること。
(3) 財産評価基本通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、同通達186-2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。

想う相続税理士

上記の内容は、「法人税基本通達 9-1-14 市場有価証券等以外の株式の価額の特例」と同様です。