相続税専門税理士の富山です。
上記の記事で、「特定の評価会社」についてご説明するとともに、「特定の評価会社に該当すると、想定よりも実際の評価額が高くなる場合があります」とお話しました。
今回は、それなら「特定の評価会社」に該当しないようにすれば相続税が安くなるのか?ということについて、お話します。
配当を支払えばいい?
「配当金額=0」・「利益金額=0」・「純資産価額=プラス」という「比準要素数1の会社」の場合、配当を支払うことで、「配当金額=プラス」・「利益金額=0」・「純資産価額=プラス」とすることができます(簡単ですね)。
資産構成を組み変えればいい?
「株式等の保有割合(総資産価額中に占める株式、出資および新株予約権付社債の価額の合計額の割合)が一定の割合以上」の「株式等保有特定会社」や、「土地等の保有割合(総資産価額中に占める土地などの価額の合計額の割合)が一定の割合以上」の「土地保有特定会社」の場合、その株式等や土地等の割合を変動させるのは、比較的簡単な場合があります。
例えば、金融機関から借入をして「現預金」という資産を増やすのです(相対的に「株式等」や「土地等」の割合が低下します)。
借入をして「現預金」という資産を増やすだけでなく、その現預金で、「株式等保有特定会社」であれば土地等を購入する、「土地保有特定会社」であれば株式等を購入する、という流れになる場合もあるでしょう。
逆に、「株式等保有特定会社」であれば株式等を売却する、「土地保有特定会社」であれば土地等を売却する、という方法も考えられます。
これらの対応により、「株式等の保有割合」「土地等の保有割合」を下げることができます。
その割合の変動に合理的な理由はある?
上記の対応により、「特定の評価会社」に該当しなくなることで評価額が安くなるのでしょうか?
財産評価基本通達(一部抜粋加工)
189 特定の評価会社の株式
178《取引相場のない株式の評価上の区分》の「特定の評価会社の株式」とは、評価会社の資産の保有状況、営業の状態等に応じて定めた次に掲げる評価会社の株式をいい、その株式の価額は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。
なお、評価会社が、次の(2)又は(3)に該当する評価会社かどうかを判定する場合において、課税時期前において合理的な理由もなく評価会社の資産構成に変動があり、その変動が次の(2)又は(3)に該当する評価会社と判定されることを免れるためのものと認められるときは、その変動はなかったものとして当該判定を行うものとする。
(1)比準要素数1の会社の株式
(2)株式等保有特定会社の株式
(3)土地保有特定会社の株式
(4)開業後3年未満の会社等の株式(比準要素数0の会社を含む)
(5)開業前又は休業中の会社の株式
(6)清算中の会社の株式
「株式等の保有割合」「土地等の保有割合」の変動に合理的な理由がなく、「特定の評価会社」に該当しなくなることを目的としたものと認められる場合には、その変動がなかったものとして「特定の評価会社」に該当するかどうかを判定する必要があります。
想う相続税理士
