【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

遺産が未分割の状態で相続税の申告をする場合の注意点

相続税専門税理士の富山です。

今回は、遺産分けがまとまらなかった場合の相続税申告の注意点について、お話します。


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遺産が未分割でも税務署は待ってくれない

相続税法(一部抜粋加工)
第55条 未分割遺産に対する課税
相続若しくは包括遺贈により取得した財産に係る相続税について申告書を提出する場合又は当該財産に係る相続税について更正若しくは決定をする場合において、当該相続又は包括遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によつてまだ分割されていないときは、その分割されていない財産については、各共同相続人又は包括受遺者が民法(第904条の2(寄与分)を除く。)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従つて当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとする

相続税の申告期限までに遺産分けがまとまらなかった場合でも、相続税の申告・納税は必要です。

その場合には、本来の相続財産を法定相続分等の割合に従って遺産分けをしたものとして、相続税の申告・納税をすることになります。

死亡保険金や満期保険金は法定相続分等で按分しない

相続税法基本通達
55-2 相続又は遺贈により取得したものとみなされる財産
法第55条の規定により課税価格を計算する場合において、法第3条及び第4条並びに第7条から第9条までの規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる財産があるときは、当該財産の価額は、その者の民法に規定する相続分又は包括遺贈の割合に応ずる本来の相続財産価額に加算して課税価格を計算するものとする。

相続税法の

第3条 相続又は遺贈により取得したものとみなす場合
第4条 遺贈により取得したものとみなす場合
第7条 贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合
第8条 (免除等を受けた債務)
第9条 (その他の利益の享受)
に規定する財産については、法定相続分等の割合に従って遺産分けをしたものとはせず、それらの財産の取得者の(上記の計算による)「本来の相続財産を法定相続分等の割合に従って遺産分けをしたもの」とした金額にそのまま加算して、相続税を計算します。

相続または遺贈により取得したものとみなされる死亡保険金や、生前に亡くなった方から贈与により取得したものとみなされる満期保険金などは、この取扱いになります。

特別受益は按分した後に丸々控除する

国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋加工)
未分割の場合の課税価格(相続時精算課税適用財産がある場合)

甲の死亡に伴い、その相続人である子A、B、C、Dがその財産を相続することとなりましたが、遺産分割協議が整っていません。甲の財産は10億円ですが、相続人A及びBについては、生前、甲からそれぞれ生計の資本として1億円の贈与(特別受益)を受け、いずれも相続時精算課税の適用を受けています。この場合の各人の相続税の課税価格はどうなりますか。

相続人A・Bが贈与を受けた相続時精算課税適用財産は、民法第903条(特別受益者の相続分)第1項に規定する「婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として」の贈与に該当するため、「具体的相続分」により相続税を計算します。

民法(一部抜粋加工)
(特別受益者の相続分)
第九百三条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする

法定相続分等で按分する対象に加算し、按分後の金額から丸々控除するのです。

A:(10億円+1億円×2人)×1/4-1億円(特別受益)=2億円
2億円+1億円(相続時精算課税適用財産)=3億円
B:(10億円+1億円×2人)×1/4-1億円(特別受益)=2億円
2億円+1億円(相続時精算課税適用財産)=3億円
C:(10億円+1億円×2人)×1/4-0(特別受益なし)=3億円
D:(10億円+1億円×2人)×1/4-0(特別受益なし)=3億円

想う相続税理士

相続税の申告書作成ソフトでも、この流れに対応していないものがあったりしますので、ご注意を。