相続税専門税理士の富山です。
今回は、一次相続における遺産分けの留意点について、お話します。
コンテンツ
一次相続で二次相続を考慮するとはどういうことか?
夫→妻の順に亡くなると仮定した場合、夫が亡くなった時の相続を「一次相続」、妻が亡くなった時の相続を「二次相続」と言います。
よく、一次相続の遺産分けにおいては、二次相続も考慮する必要がある、というようなことが言われます。
これは、夫の相続の際、妻が相続財産を取得すると、その財産が、妻の相続の際に相続財産になる、簡単に言うと、一次相続で妻が相続する分、二次相続の相続財産が増え、二次相続の相続税が増える可能性がある、ということです。
それが分かっていても、一次相続において、妻が相続する場合があります。
なぜなら、妻が相続すれば、「配偶者の税額軽減」を適用することができ、相続税が安くなるからです。
一次相続の遺産分けの内容によって、一次相続の相続税が変わり、かつ、二次相続の相続税も変わります。
どちらを安くした方がいいのか、という思考ではなく、トータルで最も安くなるのはどのような遺産分けか、という視点で検討することが基本路線となります。
一次相続の遺産分けでで考慮すべきこととは?
内容を整理すると、一次相続においては、次のような観点からの検討・考慮が必要です。
相続税をちゃんと納めることができるか
一次相続・二次相続それぞれにおいて、納税資金がショートしないか、留意する必要があります。
二次相続の納税資金対策を兼ねた一次相続における遺産分け、も検討する必要がある場合があります。
「納税資金対策」と言うと、現預金の相続に目が行きがちですが、財産を売却して現金化する・物納する、ということも考え、不動産や株式等も検討対象に入れましょう。
妻の既存保有財産を加味する
基本的には、二次相続の相続財産は、「一次相続で妻が相続した財産+妻が従来から所有していた財産」となります。
妻が元々持っている財産によっても、二次相続の相続税は変わります。
財産の増加・減少を加味する
妻が不動産賃貸物件を相続した場合、または、元々所有していた場合には、その地代家賃収入は二次相続の相続財産を構成します(財産が増加します)。
ただし、事業上の経費がかかれば、その分、財産が減少します。
これは、生活費や医療費等についても同様です(財産が減少します)。
財産の評価額の将来の上昇・下落の可能性も検討する
あくまでも予想になりますが、個々の財産について、将来、評価額が上がるか・下がるか、も検討しましょう。
二次相続の時に評価額が上がっていると、相続税が大変になりますし、評価額が下がっていると、逆に相続税の負担は減ります。
ということは、評価額が上がる財産については、二次相続の課税対象とならないよう、配偶者以外(子など)が相続し、評価額が下がる財産については、配偶者が相続することにより、評価額が下がってから、二次相続で課税を受ける(一次相続は配偶者の税額軽減により無税または低負担)というのが基本スタンスになります。
二次相続の相続税対策を加味する
妻が二次相続の相続税対策をすることにより、二次相続の相続財産(評価額)を減らすことも検討すべきです。
メインは生前贈与ですが、土地がある場合には、小規模宅地等の特例の適用にも留意する必要があります。
想う相続税理士