相続税専門税理士の富山です。
今回は、相続財産の中に、ずっとお米や野菜などを栽培していない田畑がある場合における、その田畑の財産評価上の地目の判定について、お話します。
課税時期現在の状況で判断する
相続財産の中にA土地という、昔は畑として使っていたけれども、今は何もしていない(野菜などを栽培していない)土地があるとします。
固定資産評価証明書や、固定資産税の課税明細書上の地目は「畑」になっています。
このA土地は、これらの書類に「畑」と証明されているので、「畑」として評価するのでしょうか?
財産評価基本通達(一部抜粋加工)
7 土地の評価上の区分
地目は、課税時期の現況によって判定する。
(1) 宅地
(2) 田
(3) 畑
(4) 山林
(5) 原野
(6) 牧場
(7) 池沼
(8) 削除
(9) 鉱泉地
(10) 雑種地
(注) 地目の判定は、不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日付民二第456号法務省民事局長通達)第68条及び第69条に準じて行う。ただし、「(4)山林」には、同準則第68条の「(20)保安林」を含み、また「(10)雑種地」には、同準則第68条の「(12)墓地」から「(23)雑種地」まで(「(20)保安林」を除く。)に掲げるものを含む。
上記の書類上の地目が「畑」でも、実際の状況が「畑」でない場合には、「畑」として評価しません。
上記の「不動産登記事務取扱手続準則」を見てみると、
(一部抜粋)
(2) 畑 農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
と書かれています。
「耕作していない土地」は、畑ではないのでしょうか?
「耕作」とは厳密に言うと、どういうことなんでしょうか?
農地法関係事務に係る処理基準上の規定
「農地法関係事務に係る処理基準」というものがあり、「農地」について次のように規定しています。
(一部抜粋加工)
「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいう。この場合、「耕作」とは土地に労費を加え肥培管理を行って作物を栽培することをいい、「耕作の目的に供される土地」には、現に耕作されている土地のほか、現在は耕作されていなくても耕作しようとすればいつでも耕作できるような、すなわち、客観的に見てその現状が耕作の目的に供されるものと認められる土地(休耕地、不耕作地等)も含まれる。
つまり、課税時期(相続開始時点)において実際に耕作していなくても、いつでも耕作できる状態であれば、農地(畑や田)である、ということです。
農地に該当しなければ原野や雑種地になる
国税庁HPでは、これを受けて、次のように規定しています。
国税庁HP・質疑応答事例(一部抜粋)
土地の地目の判定-農地
【照会要旨】
登記簿の地目は農地(田又は畑)ですが、現況が次のような場合には地目はどのように判定するのでしょうか。
(1) 数年前から耕作しないで放置している土地
【回答要旨】
(1)の耕作していない土地が上記のような状態に該当すれば農地と判定しますが、長期間放置されていたため、雑草等が生育し、容易に農地に復元し得ないような状況にある場合には原野又は雑種地と判定することになります。
耕作放棄の期間や土地の状況により、「『簡単に』農地(耕作できる状態)に戻せるとは認められない」場合には、原野・雑種地として評価する、ということです。
想う相続税理士
(2) 砂利を入れて青空駐車場として利用している土地