【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続時精算課税制度をおトクに使いこなす方法

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続時精算課税制度で得をする方法について、お話します。


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言葉のとおり「相続の時に課税を受けて精算する制度」

参考 No.4103 相続時精算課税の選択国税庁

1 制度の概要(一部加工抜粋)
相続時精算課税の制度とは、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。この制度を選択する場合には、贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
なお、この制度を選択すると、その選択に係る贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降全てこの制度が適用され、「暦年課税(注)」へ変更することはできません。
また、この制度の贈与者である父母又は祖父母が亡くなった時の相続税の計算上、相続財産の価額にこの制度を適用した贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算します。

ちょっと補足すると、贈与時には2,500万円まで贈与税がかからず、2,500万円を超える部分について、20%の贈与税がかかります。

そして、相続が発生したときには、相続財産にその贈与財産を加算して、相続税を計算します。

2,500万円を超える部分にかかった20%の贈与税は、この相続税の計算の際に相続税の金額から差し引くことができます(引ききれなければ還付)。

つまり、「贈与するけど、贈与税はかからない、代わりに相続税がかかる」ということです。

贈与時の時価を加算するところにウマミがある場合がある

上の赤字の部分にあるとおり、相続時精算課税制度による贈与財産は、相続税の計算に組み込まれるのですが、その際、贈与した時の時価で課税されます。

ということは、贈与した時に2,000万円だったものが、相続の時に5,000万円になっていたとしても、2,000万円で相続税を計算できるのです。

でも、通常は財産が値上がりするかどうかなんて、分かりませんよね。

逆に値下がりした場合、相続の時にもらっておいた方がよかった、なんてことにもなります。

会社の株式など、「相続の時に値上がりしていたら大変だ!売れないし!」というような財産がある場合には、有効です。

想う相続税理士秘書

相続よりも前に多額の財産を渡したい場合には使える

「生きているうちに子供にそれなりの財産を渡したい」「子供が今、お金が必要だから、相続まで待たずに多額のお金を渡したい」という場合、それを実行すると贈与になります。

そうすると贈与税がかかるのですが、贈与税は相続税に比べて税負担が高いのです。

贈与財産の金額が大きければ大きいほど、贈与税の税率も高くなります。

つまり、財産を贈与したくても、それを普通に実行すると、金額が大きい場合には多額の税金がかかってしまうのです。

しかし、この相続時精算課税制度を使えば、贈与税がかからず、相続の時に相続税がかかります。

相続税はかかりますが、「生きているうちに」「多額の(2,500万円までは贈与税無税)」贈与をすることができます。

その上、相続税は通常、贈与税に比べて税負担が低くなるため、税金が高くなりません。

つまり、「早く」「安く」財産を移転することができるのです。

結果的に「贈与税」も「相続税」もかからない場合がある!

「早く」財産を移転した上に、「安く」どころか「税金ゼロ」になる場合もあります。

相続財産に相続時精算課税制度による贈与財産を加算しても、財産の金額が相続税の非課税枠(遺産に係る基礎控除額)以下だったりして、相続税がかからない場合です。

この場合には、贈与税も相続税もかからず、無税で早期に財産の移転ができましたとさ。おしまい。

想う相続税理士

相続時精算課税制度は、その適用を受けるためには税務署への届出が必要だったり、その贈与者からの贈与については110万円の非課税が使えなくなったりと、気を付けるべき点がありますので、ご注意を。