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夫婦どちらも老人ホームに入居していた場合の小規模宅地等の特例

相続税専門税理士の富山です。

今回は、亡くなった時に夫婦がそれぞれ老人ホームに入居していた場合の、ご自宅敷地に係る小規模宅地等の特例の適用について、お話します。

夫婦がどちらも老人ホームに入居し相続が発生した場合

次のような前提でお話します。

①ご自宅の土地建物は夫が所有

②夫婦でそのご自宅に居住

③夫が老人ホームに入居

④妻が老人ホームに入居

⑤夫が死亡・ご自宅の土地建物を妻が相続により取得

⑥妻が死亡・ご自宅の土地建物を家なき子の長男が相続により取得

夫の相続税申告における問題点

上記⑤の時点では、ご自宅に夫は住んでいません(老人ホームに入居しています)。

そうすると、「亡くなった方が相続開始直前において住んでいなかった」ということになりますので、下記の要件に反します。

租税特別措置法(一部抜粋)
第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
当該相続の開始の直前において、当該相続若しくは遺贈に係る被相続人の居住の用に供されていた宅地等

しかし、

租税特別措置法(一部抜粋)
第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
居住の用に供することができない事由として政令で定める事由により相続の開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていなかつた場合における当該事由により居住の用に供されなくなる直前の当該被相続人の居住の用を含む

と規定されており、その「居住の用に供することができない事由として政令で定める事由」については、

租税特別措置法施行令
第40条の2 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
2 法第69条の4第1項に規定する居住の用に供することができない事由として政令で定める事由は、次に掲げる事由とする。
一 介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定又は同条第2項に規定する要支援認定を受けていた被相続人その他これに類する被相続人として財務省令で定めるものが次に掲げる住居又は施設に入居又は入所をしていたこと。
イ 老人福祉法第5条の2第6項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、同法第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム又は同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム

と規定されているため、要介護認定等を受けていることが条件ですが、③の時点の直前においてご自宅に夫が住んでいるので、この要件はクリアしています。

妻の相続税申告における問題点

A:上記⑥の時点で、ご自宅に妻が住んでいなかった(老人ホームに入居していた)点については、上記の夫と同様ですので、要件をクリアしています。

B:上記④の時点では、妻はご自宅を所有していません(妻が老人ホームに入居する直前の時点においては、ご自宅は夫が所有しています)。

C:上記⑤の後、妻はご自宅に住んでいません(亡くなった方がご自分が所有してから一度も住んでいません)。

上記B・Cについては、特に要件を定める規定がないことから、特例の適用を受けることができます。

下記をご参照ください。

参考 老人ホームに入居中に自宅を相続した場合の小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(租税特別措置法第69条の4)の適用について国税庁

想う相続税理士

配偶者がご自宅の敷地を相続した場合には、通常の小規模宅地等の特例の適用要件である「居住継続要件」「所有継続要件」も)を満たす必要がないため、夫の相続税申告において、ご自宅の敷地を相続した妻が、その後、申告期限までご自宅に住んでいないことは、元々問題になりません。