相続税専門税理士ブログ

相続があった年に亡くなった方から財産をもらってない?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続開始年分の贈与の注意点について、お話します。

暦年課税の場合

相続で財産を取得した方が、その相続開始前3年以内に、その亡くなった方から贈与により取得した財産は、相続税の課税対象となります(あくまでも「相続で財産を取得した方」限定の話です)。

これを、「生前贈与加算」と言います。

そのうち、相続があった年の前年以前の贈与財産は、贈与税を納付している場合には、相続税の課税対象にすると、相続税と贈与税の二重課税になってしまうので、相続税の計算上、その贈与税の金額を控除することにより、二重課税を解消します。

相続があった年の贈与財産、例えば、令和4年12月31日に相続があり、令和4年11月30日にその亡くなった方からもらった贈与財産がある場合、

  1. まず贈与があったことは間違いないので、令和5年3月15日(もらった年の翌年3月15日)までに贈与税を申告・納付する
  2. 続いて、令和5年10月31日まで(相続があった日(ことを知った日)の翌日から10ヶ月以内)に相続税を申告・納付する、その際に、令和5年3月15日までに納付した贈与税を控除して計算する

という流れになるのが本当なのですが、贈与税を課税したところで、どうせ相続税の計算で控除されてしまうのだから、最初から相続税1本にし、「贈与税を課税せず、相続税のみを課税」することになっています。

相続時精算課税の場合

相続時精算課税を適用した贈与財産の場合には、上記と取扱いが異なります。

相続があった年の贈与でも、贈与税の課税対象となり、なおかつ、相続時精算課税なので、相続税の課税対象にもなります。

相続税法(一部抜粋)
第21条の10 相続時精算課税に係る贈与税の課税価格
相続時精算課税適用者が特定贈与者からの贈与により取得した財産については、特定贈与者ごとにその年中において贈与により取得した財産の価額を合計し、それぞれの合計額をもつて、贈与税の課税価格とする。

ただし、贈与税の申告は不要です。

相続税法(一部抜粋加工)
第28条 贈与税の申告書
4 特定贈与者からの贈与により第21条の9第3項の規定の適用を受ける財産を相続時精算課税適用者が取得した場合において、当該特定贈与者が当該贈与をした年の中途において死亡したときは、当該贈与により取得した財産については、第1項(「申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない」)の規定は、適用しない。

相続時精算課税選択届出書の提出を忘れるな!

申告は不要ですが、相続時精算課税の場合、届出書の提出が必要です。

相続時精算課税を選択しようとする方(贈与財産をもらった方)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、「相続時精算課税選択届出書」を提出する必要があります。

もし、相続があった年の贈与がその選択に係る最初の贈与の場合、その翌年の3月15日までに届出書を提出する必要があります。

これを提出すれば、その贈与財産は完全に相続税の申告の中に組み込まれます。

提出しなかった場合には、その贈与財産には暦年課税が適用されます。

その贈与財産をもらった方が相続で財産を取得していれば、最初の方でお話した「贈与税を課税せず、相続税のみを課税」の取扱いとなり、相続税の申告の中に組み込まれます。

その贈与財産をもらった方が相続で財産を取得していなければ、生前贈与加算の対象とはならないので、暦年課税により通常の贈与税が課税されます(相続税の申告の中に組み込まれません)。

想う相続税理士

2,500万円までの非課税枠(特別控除額)がある相続時精算課税の適用を受けようとして、多額の贈与を受けたにも関わらず、その後、その年に贈与者が亡くなったため、届出書の提出を忘れた(または、贈与者が亡くなったので届出書なんて出さなくても相続税の申告で精算されると勘違いした)りすると、相続で財産を取得しない場合には、多額の贈与税が課税されますので、ご注意を(相続で財産を取得するようにしましょう)。