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「相続についてのお尋ね」の記載がモレていたが重加算税がかからなかった事例

ホームズ!相続税がかからない旨の内容を記載した「相続についてのお尋ね」を税務署に提出しても、税務調査になることがあるのかい?
ワトスン君、税務調査になるどころか、重加算税の賦課決定処分を受けた事例があるよ。その後に取り消されたけどね。

参考 (令和元年12月18日裁決)国税不服審判所

相続税専門税理士の富山です。

今回は、「相続についてのお尋ね」が絡んだ国税不服審判所の裁決事例について、お話します。

相続を忘れた頃に税務署から送られてくる書類がある

相続があり、財産が一定金額以上あれば、相続税がかかります。

しかし、相続人の方が皆さん相続税に詳しいワケではありませんし、「自分の家は相続税なんてかからない」と思い込んでいる方もいらっしゃいます。

そこで税務署は、ある程度の相続財産があると把握している家の相続人の方に、「相続についてのお尋ね」などの書類を郵送します。

「相続税が出ないのであれば、これに財産の内容等を記載して、税務署に提出して欲しい」という内容の書類ですが、要は「相続税が出るかちゃんと確認してね」ということです。

事例の概要:意図的な財産隠しであるとは言えないと判断

上記の事例は、「遺産に係る基礎控除額」(相続税の非課税枠)が「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」に縮小された後のモノです。

「相続についてのお尋ね」で、税務署に「相続税は出ません」と回答していたのですが、記載した財産にモレがあり、税務調査を経て、相続税の申告書を提出、そして、重加算税の賦課決定処分を受けています。

最終的には、「相続についてのお尋ね」に記載されていた内容が事実と異なるモノであったとしても、それをもって意図的に虚偽の記載をして提出したとまでは認められない、と判断され、その処分は取り消されました。

ポイントをいくつか挙げてみます。

「相続についてのお尋ね」に記載しなかった財産があった

「相続についてのお尋ね」に記載しなかった財産があり、それが、意図的な虚偽の記載であり、隠ぺい又は仮装行為があったものとして、重加算税の不可決定処分が行われました。

提出された書類が正式な相続税の申告書ではないとはいえ、虚偽の記載があると、課税庁の判断を誤らせる恐れがある、という主張です。

ただし、「相続についてのお尋ね」は、税務署が納税者に対して任意の提出を求める性質のモノであり、その記載内容等も法定化されておらず、もともと大まかな金額の記載しか求められていない、そして「相続についてのお尋ね」に記載モレがあったとしても、それをもって意図的に虚偽記載された文書が提出されたとは認められない、とされました。

税務調査ではモレのない一覧表を提出していた

相続税の申告期限の翌年に、相続税の税務調査がありました。

その際、調査官に相続財産の一覧表を提出していますが、その一覧表に記載された財産以外に、相続財産は確認されていません。

税務調査の時に、きちんと相続財産を明示しています。

これにより、相続財産を隠匿するような行動には出ていなかった、とされました。

相続税の申告書を提出しなかっただけでは、重加算税の課税要件を充足しません。

隠ぺい仮装行為と評すべき行為があったかが問題となります。

そのような行為はないので、重加算税の賦課要件を充足しない、という判断です。

税理士無料相談会で税理士に相談していた!

この相続人の方は、税理士無料相談会に2回参加しています。

原処分庁側は、これについて、税理士に説明を受けているにもかかわらず財産の記載モレがあったことを問題視していますが、国税不服審判所の判断部分に、

いずれも1時間も満たない程度で終了したのであるから、請求人が、これらの相談によって税務知識を相当程度有するに至ったと認めることもできない。なお、仮に請求人がこれらの相談の機会に多少の税務知識を得たとしても・・・

とあるように、税理士に多少相談したところで、正しい税務判断ができるようにはならない、とされています。

館林市に出張訪問する相続税専門税理士から一言

想う相続税理士

相続財産の金額が少なければ、税務署のチェックが甘くなるワケではありません。

また、ちょっと税理士に相談したぐらいでは、税務判断を誤ってしまう場合もありますので、ご注意を。