【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

親のお金を自分名義で会社に貸し付けたら贈与になったケース

相続税専門税理士の富山です。

今回は、会社に対する貸付金の名義の注意点について、お話します。


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銀行から借りられなければ親族から借りる

会社の資金繰りが悪化しているけれども、金融機関から借入をすることができない、社長はお金を持っていない、でも、社長の母がお金を持っている、という場合、会社がこの母からお金を借りることがあります。

この場合、会社はお金を借りるワケですから、会社が「債務者」になります。

この場合、誰が「債権者」になるでしょうか?

そのお金は母のお金ですから、通常は、母が債権者になりますよね。

これを、「社長」を債権者としたらどうなるでしょうか?

「債権者」の名前は誰でもいい?

会社は毎年決算を組んで、税務署に法人税の申告をします。

会社の決算書には、母のお金が借入金として計上されます。

この場合、その借入先(債権者)を「社長」と記載すると、母から社長に対する贈与があったものとみなされます。

債権者が社長になっている、ということは、母のお金が社長に贈与され、そのお金が社長のモノとなり、自分のモノとなったお金を社長は会社に貸し付けた、だから、社長は自分の名前を債権者として決算書(勘定科目内訳明細書)に記載した、ということになるからです。

そのお金は、債務者(会社)から見ると借入金ですが、債権者から見ると、貸付金です。

貸付金は財産です。

決算書に母を債権者として記載すると、母に万が一のことがあった場合、その貸付金が相続税の課税対象になってしまう、だから自分を債権者にしよう、と安易に社長の名前で申告すると、上記のように贈与が認識されてしまいます。

「決算書の記載は間違い」が税務署に通用しなかったケース

お金の流れから、贈与税の課税を受け、「申告書の記載を間違った、債権者を母と書くべきところを、自分と記載してしまった」と弁明したけど、通用しなかった、という事例があります。

出典:TAINS(Z036-1111)
贈与税の課税に関し法人決算終了から1年経過後において法人決算書記載の債権者に誤記があつたとして訂正し、贈与税の取消を求めることは不可とされた事例

決算書借入金内訳表に、~原告(上の例でいうところの社長)から借入金として記載されている~右の記載は誤記であつて、正しく○○(母)からの借入金として表示すべきものであつたところ、当時右会社の会計係であつた○○が原告から直接右各金員の交付を受けたため、誤つて右会社の伝票に原告からの借入金と記載しそれに基いて記載された右決算書にも前記のような誤記がなされたもの

会社は同族会社で規模も小さく、当時の事務担当者は、税法の知識に乏しく経験も浅い女子1名だけであつたから、伝票の記載誤りもあり得たことである

右会社がその最も重要な経理内容である借入金、出資金について記入後1年、決算後半年も経過

法人の帳簿に原告からの借入金と記載したことについては、決算も済んで社員たる原告および○○(母)もこれを承認しているのであるから、書き違いとは同視できず

会社備付けの元帳の記載により明らかであつて、これら帳簿類に原告主張のような誤記があるとは到底考えられない

想う相続税理士

法人税の申告でも、贈与税にご注意を。